■中小企業の賃上げへ業務改善助成金活用を

■中小企業の賃上げへ業務改善助成金活用を
(労働法ブログ)

みなさま、こんにちは。
2022年10月1日から、全ての労働者に適用される「最低賃金」が全国平均で31円アップの961円(時給)となります。
中小企業では、賃上げとそのための生産性向上を図る設備投資などを支援する「業務改善助成金」を活用することが有効です。
ここでは、業務改善助成金の概要や活用事例などを見てみましょう。

1・対象となる取り組み

業務改善助成金は、事業場内で最も低い水準の賃金を一定額以上アップした上で、設備投資など生産性向上への取り組みを行った中小企業・小規模事業者を対象に、設備投資などの費用の一部を助成するものです。
一つの工場や店舗などの単位で申請できますので、使いやすい制度設計となっています。

具体的には、その事業場内の人員が100人以下で、事業場内で最も低い賃金から地域別最低賃金を引いた額が時給換算で30円以内の場合に業務改善助成金が利用できます。
つまり、2022年10月1日からの地域別最低賃金が1072円である東京都では、事業場内の最低賃金が1102円までの事業場であれば利用できます。

2・助成額と助成率

業務改善助成金の助成の上限額は30万円~600万円で、賃金を引き上げる労働者の数や引き上げ額によって決まります。
例えば、事業場内で賃金が最も低い水準の労働者2人に30円の賃上げを行って、設備投資を行う場合は、上限額の50万円まで助成が受けられます。

助成率は設備投資などの費用の原則4分の3です。

3・設備投資の例

業務改善助成金の助成の対象となる設備投資は幅広く、一例として、テレワークで普及が進んだウェブ会議システムの導入外部講師による従業員への研修などにも活用できます。

なお、コロナ禍で売り上げが一定程度、減少している事業者については特例コースが設けられていて、通常では助成金支給の対象外の設備投資(PC、スマホ、タブレットの新規購入)にも活用できます。

4・申請期間

2022年度の申請期限は2023年1月31日までです。
なお、同一年度内であっても、2回まで助成が受けられます。(同一年度に複数回(2回を上限とする。)の受給を妨げない。

当事務所では、厚生労働省 労働基準局 賃金課とも情報交換しながら、各企業の処遇改善へのご支援を行っております。
どうごご安心してご相談ください。

2022年9月26日

小林勝哉社会保険労務士事務所 代表
特定社会保険労務士 小林 勝哉

(参考)

・厚生労働省 地域別最低賃金の全国一覧

・厚生労働省 業務改善助成金について

・厚生労働省 (リーフレット)業務改善助成金(通常コース)のご案内

・厚生労働省 業務改善助成金 特例コース