■人的資本経営の大道を

■人的資本経営の大道を
(働き方ブログ)

みなさま、こんにちは。
2022年は人的資本経営という言葉を聞かない日はないほど、これからの企業経営の在り方や雇用・労働の在り方をじっくり考えるよい節目の年となったのではないでしょうか。

グローバルにおいても、様々な視点からの企業経営へのリクワイアメントも各種規格が明確になり、情報開示が加速した一年でもありました。
日本においては、6月7日に岸田政権が掲げる新しい資本主義の実現に向けて、重要政策と予算編成の方向性を示した「経済財政運営と改革の基本方針2022」(骨太の方針)と、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」の閣議決定を受けて、雇用・労働の在り方もこれまでよりいっそう「人への投資と分配」が強調されるようになりました。

これらの背景には、少子高齢化に伴う労働力不足時代に入り、人への投資を通じた付加価値の向上が極めて重要との認識があります。
骨太の方針に基づく具体的な施策としては、賃上げの推進、リスキング、成長分野への労働移動支援、多様な働き方を選択できる環境整備などが進められています。
また、新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画に基づく具体的な施策として、兼業・副業の拡大、男女間の賃金差異の開示義務化や勤労者皆保険の実現の課題に取り組むことから、特に男女間の賃金差異(絶対額ではなく男性の賃金に対する女性の賃金の割合)の開示義務も設けられました。

一面から見ると、人的資本経営というと、情報開示だけに注目しがちです。
投資家の視点から見ると、財務情報などの「定量情報」と経営方針や労務関連情報などの「定性情報」から企業活動を分析します。
社会保険労務士が関わる社労士診断認証制度においても「労務管理等に関する数値情報」は、定性情報のうち人的資本の捉え方のトレーニングをする項目と位置付けています。

しかしながら、これからの雇用・労働の在り方を底辺から貫く企業活動の大道として、人的資本経営の大道があるととらえて企業価値の向上を進めて行くことが重要となります。

東京都社会保険労務士会の自主研究会「先進人事経営検討会議」でも、これからの人的資本経営への私たち社会保険労務士の関わり方について真剣に議論がなされています。
「人的資本経営の大道とは何だろう」とお考えの方は、こちらの自主研究会の議長・責任者でもある社会保険労務士 松井勇策先生の近著「人的資本経営と開示実務の教科書1: 人的資本経営の全体像 人的資本経営と開示の重要ポイント」も、参考になるのではないでしょうか。
この教科書は、きわめて教科書らしい、繰り返し原点を指し示す構成で、好感が持てます。企業の人事担当にとって、人的資本経営というものの本質は、情報開示でも、HR Techでもなく、まさに自社の経営戦略であり人事戦略の独自の成長ストーリーを、測定可能なKPIで定点把握し改善していくことだということを、読者に納得できるよう書かれています。

新聞やニュースでよく目にされる人的資本経営のきらきらしたキーワードも華やかで気になるところではありますが、海外や他社の事例がそのまま自社に合うものではありません。
私たち社会保険労務士は、人事・労務のプロとして、皆様の企業経営を人事・労務制度の側面からサポートし、よりよい事業活動への礎を築かせて頂いております。

当事務所では、社員の笑顔あふれる職場作りへのお手伝いをさせていただいております。
ご一緒に、人的資本経営の大道を歩んでまいりましょう。

2022年12月22日

小林勝哉社会保険労務士事務所 代表
特定社会保険労務士 小林勝哉

(参考)
経済財政運営と改革の基本方針2022 (骨太の方針)

新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 (新しい資本主義

女性活躍推進法に基づく男女の賃金の差異の情報公表について

社労士診断認証制度

・書籍「人的資本経営と開示実務の教科書1: 人的資本経営の全体像 人的資本経営と開示の重要ポイント」 松井勇策著