■人口減少時代の雇用政策の方向性について

■人口減少時代の雇用政策の方向性について
(働き方ブログ)

みなさま、こんにちは。
少子高齢化によりこれから人口減少時代に入っていくことが推計されています。
労働力についても減少し労働供給制約が見込まれており、厚生労働省でも雇用・失業情勢や働き方等の見直しがおこなわれています。
2024年8月23日に厚生労働省 雇用政策研究会の報告書が公表されましたので、これからの人口減少時代の雇用政策の方向性について見ておきましょう。

この雇用政策研究会報告書のテーマは「多様な個人が置かれた状況に関わらず包摂され、活躍できる労働市場の構築に向けて」となっています。
本報告書では、2040年の人口減少を背景とした労働供給制約を見通して、
・ 多様な個人の労働参加の促進と経済成長の実現
・ 人手不足の類型に応じた適切な対応
・ 労働者に選ばれる職場づくり
といった観点から、
・ 多様な個人の労働参加
・ 新たなテクノロジー等を活用した労働生産性の向上
・ 労働市場のインフラ整備等
という3つの柱のもとで、必要な施策の方向性がまとめられています。

(0)今後の労働市場の見通し
日本の総人口は、2040年には現在の9割に減少し、65歳以上の高齢者がおよそ35%を占めると推計されています。
労働力人口は、1人あたりの実質経済成長や労働参加が現状から進まないと仮定した場合には6,002万人となる一方、経済成長と労働参加が実現した場合には6,791万人となることが見込まれています。
このような経済成長と労働参加を実現するには、多様な個人の労働参加の促進と経済成長を実現するための労働生産性の向上が重要とされています。

(1)多様な個人の労働参加
多様な個人の労働参加に向けては、長時間労働を是正して様々な選択肢が提示できる雇用管理への転換が必要とされています。
例えば、ミドル・シニア世代の人材活用に向けては、ワーク・エンゲージメントを下げないような取組みや、地域に貢献し地域と繋がるような仕組みの強化も謳われています。

(2)新たなテクノロジー等を活用した労働生産性の向上
労働生産性の向上に向けては、新たなテクノロジーの活用だけでなく、従来行われてきた省力化投資や業務改善とともに、雇用の質を高める人的資本投資が必要とされています。
例えば、生成AI・AI等の活用促進にむけては、働き方改革を同時に進めるなど一層のウェルビーイングに配慮した対応が必要と謳われています。

(3)労働市場のインフラ整備等
テクノロジーの進歩や個人の就労ニーズの多様化の中で、人材育成支援(キャリア形成支援やスキルの習得)、労働市場の見える化に向けた労働市場のインフラ整備が重要とされています。
例えば、企業内外において獲得したスキルが評価され、賃金等に反映され、更なるステップアップに繋がるという好循環を実現できる労働市場の機能強化が重要と謳われています。

当事務所では、社員の笑顔あふれる職場作りのお手伝いをさせていただいております。
日本社会の労働政策の充実を期待するとともに、各企業においては、多様な力をお持ちの社員一人一人が最後まで力を発揮でき、企業の成長に寄与できる働き方をご一緒に実現してまいりましょう。

2024年9月30日

小林勝哉社会保険労務士事務所 代表
特定社会保険労務士 小林勝哉

(参考)
厚労省 雇用政策研究会報告書の公表について
~多様な個人が置かれた状況に関わらず包摂され、活躍できる労働市場の構築に向けて~

資料1 雇用政策研究会報告書(概要版)

資料2 雇用政策研究会報告書

厚労省 我が国の人口について