■フリーランス新法が施行されました
■フリーランス新法が施行されました
(働き方ブログ)
みなさま、こんにちは。
2024年11月1日、フリーランス新法が施行されました。
フリーランス新法とは、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」の略称です。
フリーランス・事業者間取引適正化等法とも呼ばれます。
ここでは、フリーランス新法の概要と留意点を見ていきましょう。
これまでにない新しい法律ですので、改めてこれからの働き方に関係が深い法律となります。
フリーランス新法は、業種や業界を限定せず、フリーランスと業務委託取引を行うすべての事業者に適用されます。
フリーランス新法の目的は、①フリーランスと発注事業者との間の取引の適正化、②フリーランスの就業環境を整備することによって、フリーランスが安心して働ける環境の整備にあります。
はじめに、フリーランス新法における主な発注事業者(企業)の義務や禁止行為について、見ていきましょう。
フリーランス新法では、取引の適正化の観点とフリーランスの就業環境の整備の観点から、発注事業者の義務や禁止行為を定めています。
特に、フリーランスの就業環境の整備について、労働法と類似する規制が導入されており、主に厚生労働省が執行を担っています。
1.取引の適正化
①取引条件の明示義務(3条)
②期日における報酬支払義務(4条)
③発注事業者の禁止行為(5条)
2.就業環境の整備
①募集情報の的確表示義務(12条)
②育児介護等と業務の両立に対する配慮義務(13条)
③ハラスメント対策に係る体制整備義務(14条)
④中途解除等の事前予告・理由開示義務(16条)
*厚生労働省から、「特定業務委託事業者が募集情報の的確な表示、育児介護等に対する配慮及び業務委託に関して行われる言動に起因する問題に関して講ずべき措置等に関して適切に対処するための指針」(令和6年厚生労働省告示212号)から公表されています。
ここでは、さらにフリーランス新法における発注事業者(企業)の「就業環境の整備」について見ていきましょう。
①募集情報の的確表示義務(12条)
広告などによって、フリーランスを募集する際、発注事業者には、以下の義務が生じます。
・虚偽の表示の禁止
・誤解を生じさせる表示の禁止
・正確かつ最新の表示義務
②育児介護等と業務の両立に対する配慮義務(13条)
発注事業者は、6か月以上の継続的業務委託の相手方であるフリーランスからの申出に応じて、フリーランス等が妊娠、出産、育児又は介護(以下「育児介護等」という。)と両立しつつ、当該委託業務に従事することができるように、フリーランス等の育児介護等の状況に応じた必要な配慮をしなければなりません。
③ハラスメント対策に係る体制整備義務(14条)
発注事業者は、ハラスメントによってフリーランスの就業環境を害することがないように、ハラスメントへの相談対応のための「体制整備」その他の必要な措置を講じる必要があります。
ここでいう「体制整備」の内容は、労働法とほぼ同様です。
・ハラスメントを行わない旨の方針の明確化・周知
・相談窓口の設置
・ハラスメント相談への迅速かつ適切な対応
④中途解除等の事前予告・理由開示義務(16条)
・発注事業者は6か月以上の期間で行う業務委託について、契約を解除又は更新しない場合、30日前までに、その旨を予告する必要があります。
・予告日から契約終了までにフリーランスが解除理由の開示を請求した場合、発注事業者は、遅滞なく開示する必要があります。
では最後に、フリーランス新法と労働法の適用の範囲について、主にフリーランスか労働者かについて区別するための観点を見ていきましょう。
フリーランス新法では、形式的に業務委託契約を締結している者(フリーランス)であっても、実質的に労働基準法上の労働者と判断される場合には、労働基準関係法令が適用され、フリーランス新法は適用されないとされています。
つまり、フリーランス新法が適用されるフリーランス(個人事業主)なのか、それとも、労働法が適用される労働者なのか、形式的に判断するのではなく、実質的に判断する必要があります。
フリーランス(個人事業主)なのか、それとも、労働者なのか、以下の要素に従い、実質的に判断することになります(労働基準法の「労働者」の判断基準)。
「労働者性」の判断基準のポイントは、次の通りです。
①仕事の依頼の諾否の自由
②業務遂行上の指揮監督
③時間的・場所的拘束性
④代替性
⑤報酬の算定・支払方法
これまで労働法を遵守していた企業でも、フリーランス新法における発注事業者の義務や禁止行為を正しく理解して適切な取引を行うことができるように注意する必要があります。
当事務所では、社員の笑顔あふれる職場作りをご一緒に支援させていただいております。
フリーランス新法をはじめとする労働法の適用についてのご相談も、どうぞお気軽にお問合せください。
2024年11月21日
小林勝哉社会保険労務士事務所 代表
特定社会保険労務士 小林勝哉
(参考)
・特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律 e-Gov
・公正取引委員会フリーランス法特設サイト 公正取引委員会
・フリーランスとして業務を行う方・フリーランスの方に業務を委託する事業者の方等へ 厚生労働省
・労働基準法の「労働者」の判断基準 労働基準法研究会報告