■老い支度を始めましょう

■老い支度を始めましょう
(ライフプランブログ)

みなさま、こんにちは。
人生100年時代、すでに3人に1人が高齢者の時代に入っています。
あなたのこれからの人生に対する準備は何が必要でしょうか。
高齢期が近づくにつれて「病気や認知症になったときに備えたい。」とお考えの方も多いと思います。
ここでは、自分で備えていくことができる老い支度について、考えていきましょう。

老い支度として一般的に大切だと考えられるものとしては、こちらの5つがあげられるのではないでしょうか。
1・エンディングノート
2・公正証書遺言
3・任意後見制度
4・自筆証書遺言
5・あんしん居住制度
そのほか、銀行の代理人カードやデジタル遺産なども考えられます。

特に、成年後見制度は、老い支度においても、障害をお持ちのご家族においても、身近で大切な制度ですね。

さて、こちらの5つの制度がどのようなものか、簡単に見ておきましょう。

1・エンディングノート

まずはここから、他の制度とセットで利用したいですね。

親族や友人のこと、預金・不動産等の資産のこと、延命治療の希望の有無、葬儀やお墓のこと、遺言の有無など、自身で必要と思う項目を記載しておくことで、支援が必要となった際、支援者がその内容を参考にすることができます。

メリット
・気軽にできること
・内容の変更が簡単
デメリット
・強制力や法的効力はない

(参考)新宿区 エンディングノート「わたしのノート」
https://www.city.shinjuku.lg.jp/fukushi/korei01_000001_00051.html

2・公正証書遺言

残せる財産は、公正証書遺言で未来がある人に残したいですね。

遺言は、自分の死後に自分の財産(相続財産)をどうしたいか、自分の最後の意思を残しておくものです。
遺言の形式の一つである公正証書遺言は、記載内容に間違いがないことを公証人と2名の証人に確認してもらって作成します。公証役場で作成について相談ができます。
公正証書遺言は、家庭裁判所での検認手続を経る必要がないので、相続の開始後、速やかに遺言の内容を確認することができます。

メリット
・法的効力があります
・家庭裁判所での検認手続きが不要です
デメリット
・作成に費用がかかります
・内容を変更する際に手間がかかります

(参考)日本公証人連合会 公正証書遺言をするには、どのような資料を準備すればよいでしょうか

Q3.公正証書遺言をするには、どのような資料を準備すればよいでしょうか?

3・任意後見制度

後見人は、誰に頼むと安心か悩みどころですね。

自分の判断能力が十分なうちに、あらかじめ後見人となってくれる人(「任意後見受任者」といいます。)と任意後見契約を締結し、将来、自分が認知症や精神障害等で判断能力が不十分になったときに代わりにしてもらいたいことを決めておく制度です。
判断能力が低下した際、家庭裁判所に監督人を選んでもらってから支援を受けます。
監督人が任意後見人の業務内容をチェックするので、安心です。

メリット
・法的効力がある
・認知症などになったとき、自分が選んだ人に任意後見人になってもらえる
デメリット
・公正証書契約書作成費用がかかります
・契約書に記載の後見人報酬に加え、家庭裁判所が決定する監督人報酬がかかります

(参考)日本公証人連合会 任意後見契約

4 任意後見契約

(参考)任意後見制度と一緒に結ぶと安心できる契約
・見守り契約:
定期的に訪問や電話などで生活状況等を確認してもらう契約です。
定期的な見守りによりご本人の判断能力の低下に気づき、適切な時期に任意後見契約の効力が生じるようにします。
財産管理委任契約:
判断能力は十分であっても、身体状況が低下して財産管理ができないときに支援してもらう契約です。
死後事務委任契約:
葬儀、納骨、未払金の清算、残存家財の片づけや各種契約の解除等、亡くなった後の事務を委任する契約です。

4・自筆証書遺言

年齢を重ねたら考えが変わるかもしれないとお考えの場合の遺言です。

遺言者が、紙に、自ら遺言の全文を手書きし、かつ、作成日付および氏名を自署し、署名の横に押印するなど要件を守っ
て作成します。

メリット
・気軽にできます
・記載内容の変更が比較的簡単です
・作成費用が安い
デメリット
・書式が正しくないと無効になることがあります
・紛失や改ざん、発見されない可能性があります
・開封前に家庭裁判所の検認が必要です

(参考)政府広報 自筆証書遺言書保管制度とは
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/202009/1.html#secondSection

(参考)自筆証書遺言の法務局での保管
自筆証書遺言を法務局に保管してもらうことができます。遺言書の紛失を防ぐことができ、利害関係者による破棄・秘匿・改ざん等を防ぐことができます。家庭裁判所の検認が不要です。

5・あんしん居住制度

別居の親族に手間をかけないようにしておくことも大切ですね。

公益財団法人 東京都防災・建築まちづくりセンターが事業を行っています。
A 見守りサービス、B 葬儀の実施、C 残存家財の片づけの3つのサービスがあります。
自身が必要なサービスを選んで契約します。
B・C は、あらかじめ、必要なお金を預けておき、万一の時に契約した内容を手配してもらいます。
契約にあたっては、指定連絡先が必要です。

メリット
・見守り、葬儀、残存家財の片づけの中で自身が必要なサービスを選べる
・公益財団法人が実施している
デメリット
・都外に転居した場合、契約が終了する
・指定連絡先が必要

(参考)公益財団法人 東京都防災・建築まちづくりセンター あんしん居住制度

いかがでしたでしょうか。
元気なうちに、老い支度を始めておくことが大切です。

当事務所では、成年後見制度のご相談にも対応しております。
どうぞ安心してご相談ください。

2025年1月22日

小林勝哉社会保険労務士事務所 代表
特定社会保険労務士 小林勝哉

(参考)
厚生労働省 人生会議
人生の最終段階における医療・ケアについて、本人が家族等や医療・ケアチームと繰り返し話し合う取り組み、「ACP(アドバンス・ケア・プランニング)」の愛称を「人生会議」といいます。