■ストレスチェック義務化など改正労働安全衛生法2026年4月施行へ
■ストレスチェック義務化など改正労働安全衛生法2026年4月施行へ
(働き方ブログ)
みなさま、こんにちは。
2025年5月8日、改正労働安全衛生法及び作業環境測定法が成立しました。
今回の改正で影響の大きいポイントは、フリーランスへの対応と、50人未満事業場でのストレスチェックの義務化、があげられます。
今後、省令やガイドラインなどが示されることになろうかと思いますので注目しておきましょう。
ここでは、特に50人未満事業場でのストレスチェックの義務化に着目してみておきたいと思います。
仕事の強いストレスなどの精神障害で労災と認められた人が令和5年度に883人と過去最多となる中、従業員50人以上の事業所に実施を義務づけている「ストレスチェック」をすべての事業所に拡大し、職場のメンタルヘルス対策を進めます。
メンタルヘルス対策の体系とストレスチェック制度の位置づけについては、このようになっています。
事業場における労働者のメンタルヘルスケアは、メンタルヘルス不調を未然に防止する「一次予防」、メンタルヘルス不調を早期に発見し、適切な対応を行う「二次予防」及びメンタルヘルス不調となった労働者の職場復帰を支援する「三次予防」に分けられます。
ストレスチェック制度は、これらのうち特に一次予防のための措置を強化する観点から導入され、事業場におけるメンタルヘルス対策の促進を図るものです。
また、ストレスチェック制度の実施手順は、このようになっています。
しかしながら、各事業場での課題も浮き彫りになっています。
急激に精神障害の労災補償が増加している一方で、50人未満事業場では専門スタッフがいない、取り組み方がわからない、などの理由からヘルス対策に取り組めていない事業場が多くあります。
・精神障害の労災補償状況
・メンタルヘルス対策に取り組んでいない理由(2023年)
50人未満の事業場の負担等に配慮し、施行までの十分な準備期間を確保することとされていますが、いまからしっかりと準備を進めていきましょう。
当事務所は、障害年金専門社労士として精神障害による障害年金の申請のお手伝いの実績が豊富にあります。
また、両立支援コーディネーターとして企業と社員と病院との懸け橋のかけかたについてもご提案できます。
どうぞ安心してご相談ください。
2025年5月21日
小林勝哉社会保険労務士事務所 代表
特定社会保険労務士 小林勝哉
(参考)
・第217回国会(令和7年常会)提出法律案 労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案
■改正の趣旨と概要
多様な人材が安全に、かつ安心して働き続けられる職場環境の整備を推進するため、個人事業者等に対する安全衛生対策の推進、職場のメンタルヘルス対策の推進、化学物質による健康障害防止対策等の推進、機械等による労働災害の防止の促進等、高年齢労働者の労働災害防止の推進等の措置を講ずる。
1.個人事業者等に対する安全衛生対策の推進【労働安全衛生法】
既存の労働災害防止対策に個人事業者等も取り込み、労働者のみならず個人事業者等による災害の防止を図るため、a. 注文者等が講ずべき措置(個人事業者等を含む作業従事者の混在作業による災害防止対策の強化など)を定め、併せてILO第155号条約(職業上の安全及び健康並びに作業環境に関する条約)の履行に必要な整備を行う。b. 個人事業者等自身が講ずべき措置(安全衛生教育の受講等)や業務上災害の報告制度等を定める。
2.職場のメンタルヘルス対策の推進【労働安全衛生法】
ストレスチェックについて、現在当分の間努力義務となっている労働者数50人未満の事業場についても実施を義務とする。その際、50人未満の事業場の負担等に配慮し、施行までの十分な準備期間を確保する。
・厚生労働省 令和5年度「過労死等の労災補償状況」
精神障害に関する事案の労災補償状況
(1)請求件数は3,575件で前年度比892件の増加。うち未遂を含む自殺の件数は前年度比29件増の212件。
(2)支給決定件数は883件で前年度比173件の増加。うち未遂を含む自殺の件数は前年度比12件増の79件。
・厚生労働省 ストレスチェック制度導入マニュアル
・厚生労働省 ストレスチェック制度関係 Q&A
・厚生労働省 ストレスチェック制度の効果的な実施と活用に向けて
・ストレスチェック実施義務対象を50人未満の事業場にも拡大するよう提言 2024年11月1日
――厚生労働省「ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会」の中間とりまとめ