■仕事と介護を両立できる社会へ

■仕事と介護を両立できる社会へ
(働き方ブログ)

みなさま、こんにちは。
近年、介護離職者は年間約10万人に上っています。
企業においても、「ワーキングケアラー(働きながら介護する人)」の支援が急務となっています。

育児・介護休業法では、育児休業とともに介護休業を企業に義務付けていますが、介護は会社から見えにくいという現実があります。
社員が家族を介護していても、多くの場合は年次有給休暇を取得するなどして対応することも多く、従業員が家族の介護をしていることを会社が知らないことも多くあります。
そのため、育児と介護では、課題を抱えている従業員の見えやすさが大きく異なります。

会社には何も言わずに介護をしていた社員が突然退職を願い出る事態とならないよう、会社は誰がそういう問題を抱えているかを把握しておくことが大事です。
要介護者の症状がそれほど重くないことから「会社に言うほどのことではない」という人もいます。
また、従業員が遠慮してしまうような雰囲気がある職場では、介護の実情も把握しにくくなります。
企業が社員のプライベートな生活状況を適切に把握するためには、日ごろから直属上長や職場内でのコミュニケーションが大切になります。
お互いがお互いの生活スタイルも尊重しつつ、業績目標にむけて力を合わせて結果を出していく職場を目指していくことが重要になります。

仕事と介護の両立に当たっては、会社と社員のそれぞれが留意しておくとよいポイントを考えてみましょう。
(1)仕事と介護の両立に向けて会社が留意すべきこと
・介護はいつまで続くか分からないことから、できる限り普段通りの働き方で介護の対応できることが大切です。
中小企業では難しいかもしれませんが、時間単位で取得可能な介護休暇の日数を増やすなど、シンプルな制度で両立支援ができるように制度検討ができると社員の定着につながるでしょう。
(2)仕事と介護の両立に向けて社員が留意すべきこと
いつかは介護に直面するときが来ますので、仕事と家族の両面から棚卸をして、自分がやらなければならないこと、他人に任せられること、やる必要がないこと、を整理しておくことも大切です。

厚生労働省では、企業における介護支援プランの導入を推進しています。
介護支援プランとは、介護に直面した従業員の状況・希望を踏まえて事業主が作成する、仕事と介護が両立できる働き方を支援するためのプランのことです。
当事務所では、両立支援コーディネーターとして仕事と介護の両立に向けた具体的なご支援が可能です。
どうぞ安心してご相談ください。

2025年5月21日

小林勝哉社会保険労務士事務所 代表
特定社会保険労務士事務所 小林勝哉

(参考)

育児・介護休業法について

仕事と介護の両立支援 ~両立に向けての具体的ツール~

【1】仕事と育児/仕事と介護の両立支援ガイド(企業向け)

【2】「介護支援プラン」策定マニュアル(企業向け)

「仕事と家庭の両立支援プランナー」による職場環境整備・仕事と介護の両立支援

・仕事と介護の両立支援制度(概要)
介護休業   | 対象家族1人につき通算93日まで、3回まで分割取得可能。要件を満たせば、雇用保険から67%の給付金あり。
介護休暇   | 対象家族1人につき年5日(2人なら10日)まで、1時間単位で取得可能。 原則は無給。会社によっては規定で有給の場合も。
短時間勤務など| 事業主は、短時間勤務、フレックスタイム、時差出勤、介護サービスの費用助成のいずれかを講じる義務。
その他    | 残業免除、時間外労働や深夜業の制限など

・改正育児・介護休業法(2025年4月施行)の主なポイント
介護に直面した労働者への個別の周知・意向確認
これから介護に直面する世代(40歳など)への情報提供
事業主は、研修の実施、相談体制の整備、制度の利用事例の収集・提供、利用促進に関する方針の周知のいずれかを講じる