■労働基準法の改正に向けて

■労働基準法の改正に向けて
(働き方ブログ)

みなさま、こんにちは。
2025年1月に厚生労働省の労働基準関係法制研究会の報告書が公開されました。
未来の労働基準法の改正の方向性を踏まえて、よりよい働き方を実現していきましょう。

労働基準関係法制研究会で取り上げられた課題としては、労働基準法における「労働者性」や「事業」について、労使コミュニケーションの在り方から特に過半数代表者制について、および労働時間法制の具体的課題、です。

労働者性については、昭和60年労働基準法研究会報告に示された労働者性の判断要素が参考とされてきましたが、予測可能性に乏しいという課題もあり、今後専門的な研究が進められます。また、家事使用人についても、労働者に近い働き方が増えており私家庭への監督の是非を含めて検討されるようです。

労使コミュニケーションの在り方で重要な過半数代表者制については、法廷の原則的水準を、労使の合意により企業や事業所の実情に応じて調整・代替する重要な役割を担っています。しかし実態は、適切な選出手続きや代表者の負担や意見集約の方法などで課題もあり、今後、労働基準法においてその定義を明記していくことも考えられています。過半数代表者の定義には、任務・権限、公正代表義務、使用者の情報提供、使用者の支援、不利益取扱いの禁止、選出手続、などが含まれるようです。現行法でも、過半数代表者を複数人選出して意見反映しやすくしたり、都度選出ではなく期間を定めて選出するなどの取扱いの工夫も排除はされていないようですので、様々な運用を考慮した制度が検討されるかもしれません。

労働時間法制の具体的課題については、最長労働時間規制と健康確保について、テレワークの柔軟な働き方について、労災認定基準を踏まえた休日の在り方や勤務間インターバル制度を踏まえた休息に関する規定について、副業・兼業の場合の割増賃金計算のための通算について、などがあります。ここでは、テレワークの柔軟な働き方についてABWの観点からみておきましょう。

テレワークを通じた新たな働き方のヒントは、ABWから見た新たなワークプレイスの考え方にあります。ABWとはActivity Based Working(アクティビティ・ベースド・ワーキング)の略、「時間」と「場所」を自由に選択できる働き方のことで、ABWの概念は、時間の自由度をフレックスタイム制で実現し、場所の自由度をテレワークによるICT技術により実現し、実装することができます。研究会の報告においても、テレワーク実施日に限ってフレックスタイム制を適用できる制度の導入が優先的に進められるべきとされています。また、テレワークにおけるみなし労働制の是非については、要件や健康確保措置を含めて慎重に検討が必要とされています。

いかがお感じなられましたでしょうか。

当事務所では、相談顧問として社員の笑顔あふれる職場作りのお手伝いをさせていただいております。
どうぞ安心してご相談ください。

2025年6月18日

小林勝哉社会保険労務士事務所 代表
特定社会保険労務士 小林勝哉

(参考)
厚生労働省 労働基準関係法制研究会 報告書 令和7年1月8日

厚生労働省 労働者性の判断要素 昭和60年労働基準法研究会報告

厚生労働省 集団的労使コミュニケーションの在り方(過半数労働組合・過半数代表者等)について 令和7年5月23日

小林勝哉社会保険労務士事務所 「テレワークを通じた新たな働き方のヒント ~ABWから見た新たなワークプレイス~」 2022/8/25