■パワーハラスメントの相談が増加しています
■パワーハラスメントの相談が増加しています
(働き方ブログ)
みなさま、こんにちは。
現在、都道府県労働局へのハラスメントに関する相談件数を見ても職場で急激に増加傾向にあるハラスメントはパワーハラスメント(以下、パワハラと表現します。)です。
企業においては、まずはパワハラ対策への対応を整理し、今後事業所で増加するであろうカスタマーハラスメント(以下、カスハラと表現します。)対策にも共通する雇用管理上の措置義務の対応体制を整えていくことが求められます。
職場におけるハラスメントについて事業主が雇用管理上講ずべき措置には、4つあります。
➀事業主の方針の明確化及びその周知啓発:
ハラスメントの内容、ハラスメントを行ってはならない旨の方針の明確化、管理監督者を含む労働者への周知啓発。行為者については、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等に規定し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発。
➁相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備:
相談窓口の周知。発生のおそれがある場合やハラスメントに該当するか否か微妙な場合であっても、広く相談に対応。
③職場におけるハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応:
事実関係を迅速かつ正確に確認。事実関係の確認後は、速やかに被害者に対する配慮のための措置とともに、行為者に対する措置を適切に対応する。再発防止に向けた措置を講ずる。
④併せて講ずべき措置:
プライバシーを保護するために必要な措置を講じ、労働者に周知。事業主に相談したこと等を理由として、解雇その他不利益な取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発をする。
(根拠法)
○セクシュアルハラスメント、妊娠・出産等に関するハラスメント:男女雇用機会均等法
○育児休業・介護休業等に関するハラスメント:育児・介護休業法
○パワーハラスメント:労働施策総合推進法
カスハラ対策についても、2025年6月4日にカスハラ対策を雇用主に義務付ける法律が可決・成立し、改正労働施策総合推進法が早ければ2026年10月頃までに施行される見込みとなりました。
労働者が1人でもいれば事業主に該当すると考えられますので、事業主は雇用管理上の措置義務に対応が求められます。この義務に違反した事業主は、報告徴求命令、助言、指導、勧告または公表の対象となるため、すそ野の広い事業所で対応が必要となります。
ハラスメントが発生した場合の企業のリスクは、4つあります。
➀損害賠償責任
不法行為に基づく損害賠償責任はもとより、企業も、使用者責任であったり、職場環境配慮義務違反として債務不履行責任を負うことがあります。損害賠償額は、治療費、消極損害、慰謝料、弁護士費用など合計すると1億円を超えることもままあります。
➁懲戒
ハラスメントを認定した場合には、加害者(例えば上司)、被害者(例えば部下)の両方から何らかの請求をされるリスクがあります。かといって、ハラスメントではないと認定したとしても被害者が不満を持ち紛争をかかえる可能性があります。
③労災
労災認定対象となるには、業務を精神疾患や自死との間の因果関係が認められる必要があり、労災認定されると訴訟でも不利となります。最近では、労災申請をしたときや労災認定された時点で記者会見を行う例もあります。
④風評
中小企業であっても、最近ではSNSの普及により風評リスク(レピュテーションリスク)を抱えています。採用サイトの口コミなどでブラック企業であるとレッテルを貼られるなど影響があります。
いかがお感じなられましたでしょうか。
なお、ハラスメントの申告があった場合の企業の対応については、厚生労働省 あかるい職場応援団Webにパワーハラスメント対策導入マニュアルなどが公開されていますので、参考にされてください。
当事務所では、相談顧問として社員の笑顔あふれる職場作りのお手伝いをさせていただいております。
ハラスメント予防研修などの実績も豊富です。
どうぞ安心してご相談ください。
2025年6月18日
小林勝哉社会保険労務士事務所 代表
特定社会保険労務士 小林勝哉
(参考)
・厚生労働省 女性活躍の更なる推進及び職場におけるハラスメント防止対策の強化について 参考資料 令和7年1月24日 労働政策審議会