■ストレスチェックの活用でより良き職場に

■ストレスチェックの活用でより良き職場に
(働き方ブログ)

みなさま、こんにちは。
最近の調査では、労働災害としての精神障害の請求件数が大幅に増加するなど、燃え尽き症候群(以下、バーンアウトと記す)による管理者層の不調も増えています。
ここでは、労働安全衛生法の法改正を受けて、2027年までに従業員50人未満の事業場に対してもストレスチェックが義務化されることとなったことを踏まえて、より良い職場づくりへのヒントを考えていきましょう。

厚生労働省の「令和6年度過労死等の労災補償状況」によると、精神障害の請求件数は、2020年度は2,051件でしたが、年々増加し、2024年度は3,780件(うち女性1,963件)に達しています。
請求の業種別傾向は、「医療・福祉」「製造業」「卸売業・小売業」の順となっています。
従業員だけでなく、管理者層の「管理的職業従事者」も前年度の95件から155件と約60%も増加しています。
管理者層での増加も背景に、中高年層の精神障害の請求件数が多くなっています。
中高年層の中でも40代が最も多く、一般的に40代で会社の中核を担う中間管理層になることを考えると、総じて上司とのトラブルといった仕事上の悩み(ハラスメントを含む)が原因の上位に挙げられています。

アデコグループの調査で未来のグローバルワークフォース2024ーAIが牽引する仕事の世界への適応ーによると、過去12か月間にバーンアウトを経験した労働者の割合は各国平均で65%に上り、日本でも56%に上っています。

40代で会社の中核を担う中間管理層になって体調を崩す方が多い背景には、プレイイングマネージャーとして実務も管理も責任を問われるなど、二元関係だけではない幅広い原因が潜んでいるようです。

日本では、2015年12月から労働安全衛生法に基づいて、常時使用する労働者が50人以上の事業場に対しては、年1回のストレスチェックの実施が義務付けられました。
ちょうど10年を経過して振り返ってみると、従業員のメンタルヘルス不調の早期発見・対応を図る効果はあったと考えられますが、必ずしも職場環境の改善につながったかというと十分な集団分析のフィードバックなどに活用されていない面もあったのではないでしょうか。

労働安全衛生法の法改正を受けて、2027年までに従業員50人未満の事業場に対してもストレスチェックが義務化されることとなったことを踏まえて、これからはストレスチェックを「検査」だけで終わらせずに、職場環境の改善につなげていく視点を取り込み、より良い職場づくりのきかっけとしていくことが求められます。
適用拡大に伴い、これまでメンタルヘルス対策が手薄であった小規模事業場での心理的負担の可視化と対応を促すきっかけとなることは明らかですが、一方でプライバシーが保護されずにハラスメントのトリガーになってしまうことも懸念されます。

厚生労働省のストレスチェック制度の効果的な実施と活用に向けての冊子でも、ストレスチェックを職場改善に生かすヒントは、次の3点が示されています。

1)集団分析の活用
 冊子でも具体的な集団分析の方法について、解説されています。
 集団分析では、部署別の比較等のほかに、過去の結果と比較し、職場のストレス状況の変化を確認することも大切です。
 厚生労働省の「心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」では、集団ごとの集計・分析に際し集計・分析の単位が10人を下回る場合、実施者は集計・分析の対象となる全労働者の同意を取得しない限り、事業者に集計・分析の結果を提供してはならないとされています。
 ただし、例えば、職業性ストレス簡易調査票の57項目全ての合計点について集団の平均値だけを求めたり、「仕事のストレス判定図」を用いて分析したりする等、個人の特定につながり得ない方法で実施する場合は、あらかじめ衛生委員会等で調査審議を行った上で、10人未満の単位での集計・分析を行うことも可能です。

2)管理監督者による対応力の強化
 冊子の工夫例では、部署ごとに策定した職場環境改善計画について、毎月の達成状況を管理監督者から事業場の保健師に報告してもらい定期的にモニタリングし、報告がない部署についてはよりケアが必要であるため保健師に依頼して改善に向けてフォローしているとの取り組みも紹介されています。

3)従業員参加型の職場改善
 冊子の事例では、保健師主導で総合健康リスクが高い事業場に対して職場環境改善を実施することとし、対象の事業場で1日かけて通常業務の合間にストレスチェックの結果に関わらず保健師が全労働者と面談して個々人が感じている高ストレスの要因を確認し、保健師面談で挙がった課題をもとに事業場ごとに労働者同士の小グループを設定してそれぞれ討議を行って保健師面談で抽出された課題に基づいてグループ討議で世代間の考え方の違いや仕事の分担方法等の普段言えない問題点について話合いを行っているとの取り組みも紹介されています。

当事務所では、障害年金相談室の数多くのケーススタディーを踏まえて、メンタルヘルスの側面から適切なストレスチェック制度の導入支援や職場環境改善の推進のお手伝いをさせていただいております。
ご一緒に、社員の笑顔あふれす職場作りを進めてまいりましょう。

2025年8月27日

小林勝哉社会保険労務士事務所 代表
特定社会保険労務士 小林勝哉

(参考)

・厚生労働省 令和6年度「過労死等の労災補償状況」

・アデコグループ 未来のグローバルワークフォース2024ーAIが牽引する仕事の世界への適応ー

・厚生労働省 ストレスチェック制度の効果的な実施と活用に向けて