■障害年金の認定状況について

■障害年金の認定状況について
(年金ブログ)

みなさま、こんにちは。
障害年金専門社労士の小林勝哉です。
2025年(令和7年)6月11日に、厚生労働省は「令和6年度の障害年金の認定状況についての調査報告書」を公表しました。
ここでは、調査報告書のポイントと最近の障害年金認定の運用見直しの概要を見ておきましょう。

この調査報告書は、2025年(令和7年)4月28日共同通信「障害年金、不支給が倍増3万人に 2024年度、幹部交代で厳格化か」、2025年(令和7年)4月29日共同通信「障害年金判定、判断誘導の可能性 機構、医師の傾向と対策文書作成」などの報道を踏まえ、日本年金機構と連携のもと、2024年度(令和6年度)の障害年金の認定状況について、抽出調査を行い、抽出した事例の認定結果、支給件数・不支給件数の割合といった概略的な集計を行うとともに、日本年金機構職員等へのヒアリングも行いながら、実態把握を行ったものです。

調査報告書のポイントは、次の3点です。
① 精神障害等について、2024年度(令和6年度)以降の不支給事案や目安の下位等級が支給されているについて、改めて、速やかに、障害年金センターに配置される常勤医師を中心としたチームによる点検を行い、必要なものは、処分を取り消し、改めて支給決定をする。
② 全ての不支給案件について、複数の認定医が審査する。
③ 複数の認定医の審査結果が分かれた場合に討議する障害認定審査委員会に福祉職等の外部の者の委員会への参画を進める。
今後も、より公平に必要としている人に給付が届くよう、制度の点検を期待したいものです。

続いて、この調査報告書を受け、厚生労働省と日本年金機構は審査方法の見直しを進めています。

2025年9月19日に日本年金機構は「不支給等事案にかかる点検作業の進捗状況について」を公表しました。
すでに、2024年度の精神障害の不支給事案2895件のうち124件が精査され、支給へと判断が改められています。

精査とあわせて、手続きの透明性と公平性を高めるため障害年金の審査方法について見直しが進められています。
1.審査書類などの丁寧な記載
2.認定プロセスの客観性や公平性の確保
3.障害年金センターの審査体制の見直し

このうち「審査書類などの丁寧な記載」については2つの見直しが進められています。
・改正点1-1 事前確認票
日本年金機構の内部文書「事前確認票」は、これまで職員が等級を記入する欄がありましたが、今後は日常生活や就労状況といった客観的な事実だけを記載します。
・改正点1-2 認定調書
審査結果を記録する「認定調書」は、これまで「x級」と結果だけの記録が多かったところ、今後は不支給や等級の判断理由や参考とした要素を丁寧に記載します。
このように判断の根拠が明確になることで、申請された方にとっても理解が深まり、日本年金機構にとっても不服申し立てや再審査への対応がしやすくなると考えられます。

引き続き、手続きの「見直し」とともに、障害年金の認定状況を毎月公表していくなど情報の「公開」を進めることで、制度への信頼性を高めていただきたいですね。

当事務所では、テレワークにより全国を結んで障害年金の申請のお手伝いをさせていただいております。
どうぞ、安心してご相談ください。

2025年9月30日

小林勝哉社会保険労務士事務所 代表
特定社会保険労務士 小林勝哉

(参考)

・厚生労働省 「令和6年度の障害年金の認定状況についての調査報告書」を公表します
( 概要 、 調査報告書 ) 2025年(令和7年)6月11日

・日本年金機構 「令和6年度の障害年金の認定状況についての調査報告書」への対応状況 第80回社会保障審議会年金事業管理部会(令和7年9月19日)資料
(認定業務の運用改善)
「令和6年度の障害年金の認定状況についての調査報告書」への対応状況
(不支給等事案の点検)
不支給等事案にかかる点検作業の進捗状況について

・厚生労働省 障害年金制度の運用に関する対応状況 2015年(平成27年)3月11日
( 障害年金制度の運用に関する対応状況についての参考資料 )

・日本年金機構 障害年金制度の運用に関する対応状況についての参考資料 2016年(平成28年)2月8日

・障害年金の障害等級は、「障害認定基準」「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」等に基づき認定されます。

・障害年金の決定件数等については、「障害年金業務統計」で公開されています。