■年金制度改革(社会保険の適用拡大)について

2025年10月22日

■年金制度改革(社会保険の適用拡大)について
(年金ブログ)

みなさま、こんにちは。
5年ごとの公的年金の2024年財政検証を受けて、2025年に年金制度改革法が成立しました。
ここでは、年金制度改革法の中から、いくつか特徴のある改正点を見ていきましょう。

ここでは、社会保険の適用拡大についてみてみましょう。
将来の年金の増額や、病気・けがで仕事を休むと支給される傷病手当金などの手厚い保障を受けられる人を増やすため、年金制度改革法では社会保険(厚生年金・健康保険)の加入要件を「週労働時間20時間以上」のみとし、シンプルな制度で働き方を選びやすくしていきます。

現在の社会保険(厚生年金・健康保険)の加入要件にある、企業規模や賃金の要件は順次撤廃していきます。
企業規模要件は現在「従業員数51人以上」ですが、10年かけて段階的に縮小・撤廃していくこととされており、2027年に36人以上、2029年に21人以上、2032年に11人以上と適用対象を拡大して、2035年には企業規模要件が完全に撤廃されてすべての企業が対象となります。
賃金要件は現在「年収106万円(月額8万8000円)」ですが、全国の最低賃金の引き上げ状況を見極めて法律の公布から3年以内に撤廃することとされています。

このほか個人事業所の社会保険適用対象も拡大されます。
現在、5人以上のフルタイム相当の従業員がいても製造業や金融など17業種しか適用されていませんが、2029年10月以降の新規開業については、農業や林業など全業種が対象となります。
また、既存事業所に対しては労使合意に基づく任意加入を後押ししていきます。

賃金要件は、社会保険料の発生で手取りが減る年収「106万円の壁」が注目されました。
支援策として3年間の措置(3年目は支援を縮小)を行うこととされ、保険料は原則労働者と事業主で折半のところ、事業主の負担割合を増やせるようにした上で事業主の追加負担分を国などが全額還付します。
あわせて、労働者の収入を増加させる事業主をキャリアアップ助成金によって支援します。

アルバイトでも社会保険に加入が当然の時代を楽しみに制度改革の定着を待ちましょう。

当事務所は、障害年金相談室を開設しております。
どうぞ安心してご相談ください。

2025年10月17日

小林勝哉社会保険労務士事務所 代表
特定社会保険労務士 小林勝哉

(参考)

第25回社会保障審議会年金部会資料 2025年6月30日 厚生労働省

将来の公的年金の財政見通し(財政検証) 厚生労働省

年金制度改正法が成立しました 厚生労働省

社会保険の加入対象の拡大について 厚生労働省

・社会保険の適用拡大 厚生労働省