■年金制度改革(その他の改正点)について

■年金制度改革(その他の改正点)について
(年金ブログ)

みなさま、こんにちは。
5年ごとの公的年金の2024年財政検証を受けて、2025年に年金制度改革法が成立しました。
ここでは、年金制度改革法の中から、いくつか特徴のある改正点を見ていきましょう。

ここでは、その他の改正点について、見ておきましょう。

1・障害年金の支給要件(保険料納付要件)の特例の延長(公布日施行)

直近1年間に保険料の未納がなければ保険料納付要件を満たすとする特例について、令和8年3月末までの時限措置であったものが10年延長されます。

2・離婚時分割の請求期限の延長(公布の日から1年を超えない範囲内の政令で定める日から施行)

離婚時分割の請求期限について、民法上の離婚時の財産分与に係る除斥期間(じょせききかん)が、離婚後2年間から5年間に伸長されることに伴って、離婚後2年間から5年間に伸長されます。

3・遺族厚生年金の受給権者の老齢年金の繰下げ受給を可能とする(令和10年4月施行)

現行制度では、遺族厚生年金の受給権者は、老齢年金(老齢基礎年金及び老齢厚生年金)の繰下げ需給はできない規定となっています。
ますます高齢者の就労が進展して、今後は繰下げ制度の利用者が増える可能性があることを踏まえて、年金を増額させたいという受給権者の選択を阻害しないように、遺族厚生年金受給権者についても繰下げ申出が認められるようになります。
ただし、老齢基礎年金については、繰下げ申出が認められますが、老齢厚生年金の繰下げについては、繰下げ申出前に遺族厚生年金の請求を行わない場合に限られます。

4・企業年金・個人年金制度の見直し(公布から3年以内の政令で定める日から施行)

1)iDeCoの加入可能年齢の上限の引上げ
iDeCoの加入できる年齢等の対象は、現行では国民年金被保険者(1号、2号、国民年金任意加入)で、老齢基礎年金等を受給していない者となっています。
公的年金への保険料を納めつつ上乗せとして私的年金に加入してきた者が、60歳から70歳にかけて引き続き老後の資産形成を継続できるように、60歳以上70歳未満で老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受給していない者にiDeCoの加入・継続拠出が認められます。
これにより、個人型確定拠出年金の加入者・運用指図者であった者、または企業型DC等の私的年金の資産を個人型確定拠出年金に移管できるものになります。

2)拠出限度額の引上げ
第1号被保険者(国民年金加入者)の拠出限度額(iDeCoと国民年金基金で共有)が、月額6.8万円から月額7.5万円に引上げられます。
第2号被保険者(厚生年金加入者)の企業型DCの拠出限度額が、月額5.5万円から月額6.2万円に引上げられます。
第2号被保険者のiDeCoの拠出限度額も、月額2.o万円または2.3円から月額6.2万円に引上げられます。
また、企業型DCのマッチング拠出額を超えることができないとする要件が廃止されます。

5・被用者保険の適用拡大に伴う被扶養者認定基準の運用の見直し(厚生労働省保険局通知)

法改正ではありませんが、通知で定めている運用の改正として、被扶養者認定基準の運用の見直しがあります。
これは、働く方が年末などの繁忙期に年収を意識した就業調整をしなくてもよいように、年収130万円の壁対策として、年収106万円の壁対策と同様に、被扶養者の認定時点で労働契約の内容(基本給及び諸手当等)によって年間収入が130万円未満であることが明らかな場合には、その時点で被扶養者認定を行うようにするものです。

今後も社会保障制度への加入者にも事業主にも制約や負担の少ない制度運用の見直しが期待されます。

当事務所は、障害年金相談室を開設しております。
どうぞ安心してご相談ください。

2025年10月22日

小林勝哉社会保険労務士事務所 代表
特定社会保険労務士 小林勝哉

(参考)

第25回社会保障審議会年金部会資料 2025年6月30日 厚生労働省

将来の公的年金の財政見通し(財政検証) 厚生労働省

年金制度改正法が成立しました 厚生労働省

障害年金を受け取るには保険料の納付が必要です 小林勝哉社会保険労務士事務所

離婚時の年金分割 全国市町村職員共済組合連合会

老齢年金の繰下げ受給と繰上げ受給 厚生労働省

私的年金(企業年金・個人年金)制度 厚生労働省