■日本成長戦略における労働時間法制の検討観点
■日本成長戦略における労働時間法制の検討観点
(働き方ブログ)
みなさま、こんにちは。
2026年7月21日に「日本成長戦略」が閣議決定されました。
ここでは、日本成長戦略の中でも労働法関連の制度改正と関わりが強い「③講ずるべき施策パッケージ ⅲ)多様な人材の労働参加の促進(柔軟で多様な働き方の実現に向けた労働時間法制等)」について概略、押さえておきましょう。
労働時間法制の在り方については、心身の健康維持と従業者の選択を前提に、柔軟で多様な働き方を実現するため、労働政策審議会において具体的な議論が行われる予定です。
日本成長戦略会議とは、高市内閣が2025年11月に設置した日本成長戦略本部の下で、更なる我が国経済の成長を実現するための具体策を検討する会議です。
リスクや社会課題に対して先手を打った官民連携の戦略的投資を促進し、世界共通の課題解決に資する製品、サービス、インフラの提供を通じて、経済成長につなげることを目的としています。内閣総理大臣を議長とし、関係閣僚に加え、経済界や学界、民間企業の有識者らで構成されています。
検討体制としては、「AI・半導体」、「資源・エネルギー安全保障・GX」、「防災・国土強靱化」、「防衛産業」、「情報通信」など17の「危機管理投資・成長投資」の戦略分野に加え、「人材育成」、「スタートアップ」、「金融」、「労働市場改革」、「賃上げ環境整備」などの8つの分野横断的課題について、各WGや分科会が設けられ、具体策の検討が進められてきました。
各戦略分野においては官民投資ロードマップが示され、分野横断的課題の解決策を検討した上で「日本成長戦略」として取りまとめられました。
日本成長戦略では、労働市場改革における現状と課題は、次のように整理されています。
「労働供給制約下にある中、労働生産性の向上を図るとともに、労働者の希望に応じて、労働移動の円滑化や、心身の健康の維持を前提とした労働参加の拡大を図る労働市場改革が必要である。中でも(中略)現場人材から高度人材に至る幅広い人材の育成・確保や、省力化を含めた生産性向上に向けた取組を進めることが極めて重要である。」
日本成長戦略の中でも労働法関連の制度改正と関わりが強い「③講ずるべき施策パッケージ ⅲ)多様な人材の労働参加の促進(柔軟で多様な働き方の実現に向けた労働時間法制等)」では、次の各観点について課題提起されています。
(1)裁量労働制
裁量労働制については、現場の実態や労使双方の立場を十分に踏まえて、健康確保、長時間労働防止、適切な処遇確保などの濫用防止措置を前提に裁量労働制の対象の在り方について、見直しの検討を行う。
(2)変形労働時間制
変形労働時間制については、他律的な要因に十分対応できていない現場の実態や、労働者の生活時間や予見可能性の確保にも留意しつつ検討を進める。
(3)その他
連続勤務規制や勤務間インターバル制度の法的位置付け、「つながらない権利」の在り方、副業・兼業に当たっての健康確保、テレワークの活用促進などについて、現場の実態や労使双方の立場を十分に踏まえて、検討を進める。
(4)運用
労働時間制度の運用については、時間外労働の実態を踏まえた、36協定139の締結や柔軟な労働時間制度の活用について、よろず支援拠点等との連携を強化しつつ、「働き方改革推進支援センター」や労働基準監督署による相談支援の充実を速やかに実施するとともに、必要な体制整備については2027年度以降も着実に実施を図る。
あわせて、労働基準監督署において、重大・悪質な事案に対しては厳正に対応しつつ、労働時間や労働者の健康確保措置に関する労使の合意にのっとった指導が行われるよう速やかに見直す。
これら(1)~(3)が、これから労働政策審議会において審議されていくこととなっています。
また、「③講ずるべき施策パッケージ ⅲ)多様な人材の労働参加の促進(女性活躍の推進)」についても特段の取り組みを行うこととされています。
女性活躍の推進に向けては、「特定の産業分野や職種は男性のものであるという思い込み(アンコンシャス・バイアス)が女性の活躍を狭める要因ともなっており、企業の意識や行動を変えていくことが重要である」との課題認識を示したうえで、「そのためにも、企業の意思決定層や管理職における女性の増加にも取り組んでいかなければならない。」としています。
当事務所では、厚生労働省 テレワーク相談センター 特定専門相談員として、数多くの企業のテレワーク勤務制度や情報セキュリティ規程の整備のご支援を行っております。
さらに、厚生労働省 民間企業における女性活躍促進事業 女性活躍推進アドバイザーとして、男女間賃金格差の分析や女性活躍推進のためのテレワーク勤務制度活用やそのほかの施策立案へのご支援を行っております。
また、パートナー社労士法人であるTECO Consultingとともに、よりよい就業環境の実現へのご支援を行っております。
ご一緒に大切な社員の健康確保を図りつつ、多様な働き方を通じて事業活動の発展を期していけるよう取り組んでまいりましょう。
2026年7月30日
小林勝哉社会保険労務士事務所 代表
特定社会保険労務士 小林勝哉
(参考)
・内閣官房 日本成長戦略本部/日本成長戦略会議
・内閣官房 日本成長戦略 (概要) <閣議決定(令和8年7月21日)>
・内閣官房 2040年の未来の絵姿(イメージ)
・内閣官房 官民投資ロードマップ (参考資料) <日本成長戦略本部決定(令和8年7月21日)>
・経済財政諮問会議・日本成長戦略会議合同会議-令和8年7月21日
・厚生労働省 労働政策審議会