■呼吸器疾患の障害認定基準について
■呼吸器疾患の障害認定基準について
(障害年金ブログ)
みなさま、こんにちは。
障害年金の診断書様式は、呼吸器用(様式120号の5)を含め8種類あります。
ここでは、呼吸器疾患の障害について、まずはどのような基準で認定されるのか概要を見ておきましょう。
呼吸器疾患は、肺結核、じん肺、及び呼吸不全に区分されます。
主な傷病名には、肺結核、じん肺、気管支喘息、慢性呼吸不全、肺腫瘍、慢性気管支炎、膿胸、肺線維症、慢性肺気腫、気管支拡張症などがあります。
障害認定基準では、呼吸器疾患による障害の認定の対象は、そのほとんどが慢性呼吸不全によるものとあります。
呼吸不全の認定要領の(8)にも、よくある治療法の在宅酸素療法について記載があります。
ア 常時(24時間)の在宅酸素療法を施行中のもので、かつ、軽易な労働以外の労働に常に支障がある程度のものは3級と認定する。なお、臨床症状、検査成績及び具体的な日常生活状況等によっては、さらに上位等級に認定する。
イ 障害の程度を認定する時期は、在宅酸素療法を開始した日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)とする。
また、治療法が異なることもあり、特別な取扱いを要する呼吸器疾患として肺結核・じん肺・気管支喘息があげられるとされています。
呼吸器疾患による障害等級認定基準
呼吸器疾患による障害の程度は、次により認定されます。
1. 認定基準
呼吸器疾患による障害については、次のとおり。
| 障害の程度 | 障 害 の 状 態 |
|---|---|
| 1級 | 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常ほとんどがベッドでの生活と同程度以上と認められる状態であって日常生活が、おおむね寝たきりの程度のもの |
| 2級 | 身体の機能の障害が、必ずしも家族の助けを借りる必要はないが、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの 家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね家屋内に限られるもの |
| 3級 | 身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの |
- 呼吸器疾患による障害の程度は、自覚症状、他覚所見、検査成績(胸部X線所見、動脈血ガス分析値等)、一般状態、治療及び病状の経過、年齢、合併症の有無及び程度、具体的な日常生活状況等により総合的に認定するものとする。
- 当該疾病の認定の時期以後、少なくとも1年以上の療養を必要とするものであって、長期にわたり安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものを1級とする。
- 日常生活が著しい制限を受けるか又は、日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものを2級とする。
- また、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のものを3級に該当するものと認定する。
- なお、呼吸器疾患による障害の認定の対象は、そのほとんどが慢性呼吸不全によるものであり、特別な取扱いを要する呼吸器疾患として肺結核・じん肺・気管支喘息があげられる。
2. 認定要領
呼吸器疾患は、肺結核、じん肺及び呼吸不全に区分されます。
A. 肺結核
- 肺結核による障害の程度は、病状判定及び機能判定により認定する。
- 肺結核の病状による障害の程度は、自覚症状、他覚所見、検査成績(胸部X線所見、動脈血ガス分析値等)、排菌状態(喀痰等の塗抹、培養検査等)、一般状態、治療及び病状の経過、年齢、合併症の有無及び程度、具体的な日常生活状況等により総合的に認定する。
- 病状判定により各等級に相当すると認められるものを一部例示すると、次のとおりである。
| 障害の程度 | 障 害 の 状 態 |
|---|---|
| 1級 | 認定の時期前6月以内に常時排菌があり、胸部X線所見が日本結核病学会病型分類(以下「学会分類」という。)のⅠ型(広汎空洞型)又はⅡ型(非広汎空洞型)、Ⅲ型(不安定非空洞型)で病巣の拡がりが3(大)であるもので、かつ、長期にわたる高度の安静と常時の介護を必要とするもの |
| 2級 | 1. 認定の時期前6月以内に排菌がなく、学会分類のⅠ型若しくはⅡ型又はⅢ型で病巣の拡がりが3(大)であるもので、かつ、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とするもの 2. 認定の時期前6月以内に排菌があり、学会分類のⅢ型で病巣の拡がりが1(小)又は2(中)であるもので、かつ、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とするもの |
| 3級 | 1. 認定の時期前6月以内に排菌がなく、学会分類のⅠ型若しくはⅡ型又はⅢ型で、積極的な抗結核薬による化学療法を施行しているもので、かつ、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とするもの 2. 認定の時期前6月以内に排菌があり、学会分類Ⅳ型であるもので、かつ、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とするもの |
- 肺結核に他の結核又は他の疾病が合併している場合は、その合併症の軽重、治療法、従来の経過等を勘案した上、具体的な日常生活状況等を考慮するとともに、「障害の程度」及び「認定基準」を踏まえて、総合的に認定する。
- 肺結核及び肺結核後遺症の機能判定による障害の程度は、「C 呼吸不全」の認定要領によって認定する。
- 加療による胸郭変形は、それ自体は認定の対象とならないが、肩関節の運動障害を伴う場合には、「上肢の障害」として、その程度に応じて併合認定の取扱いを行う。
- 「抗結核剤による化学療法を施行しているもの」とは、少なくとも2剤以上の抗結核剤により、積極的な化学療法を施行しているものをいう。
B. じん肺
- じん肺による障害の程度は、病状判定及び機能判定により認定する。
- じん肺の病状による障害の程度は、胸部X線所見、呼吸不全の程度、合併症の有無及び程度、具体的な日常生活状況等により総合的に認定する。
- 病状判定により各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりである。
| 障害の程度 | 障 害 の 状 態 |
|---|---|
| 1級 | 胸部X線所見がじん肺法の分類の第4型であり、大陰影の大きさが1側の肺野の1/3以上のもので、かつ、長期にわたる高度の安静と常時の介護を必要とするもの |
| 2級 | 胸部X線所見がじん肺法の分類の第4型であり、大陰影の大きさが1側の肺野の1/3以上のもので、かつ、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とするもの |
| 3級 | 胸部X線所見がじん肺法の分類の第3型のもので、かつ、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とするもの |
- じん肺の機能判定による障害の程度は、「C 呼吸不全」の認定要領によって認定する。
C. 呼吸不全
- 呼吸不全とは、原因のいかんを問わず、動脈血ガス分析値、特に動脈血O2分圧と動脈血CO2分圧が異常で、そのために生体が正常な機能を営み得なくなった状態をいう。認定の対象となる病態は、主に慢性呼吸不全である。慢性呼吸不全を生じる疾患は、閉塞性換気障害(肺気腫、気管支喘息、慢性気管支炎等)、拘束性換気障害(間質性肺炎、肺結核後遺症、じん肺等)、心血管系異常、神経・筋疾患、中枢神経系異常等多岐にわたり、肺疾患のみが対象疾患ではない。
- 呼吸不全の主要症状としては、咳、痰、喘鳴、胸痛、労作時の息切れ等の自覚症状、チアノーゼ、呼吸促迫、低酸素血症等の他覚所見がある。
- 検査成績としては、動脈血ガス分析値、予測肺活量1秒率及び必要に応じて行う運動負荷肺機能検査等がある。
- 動脈血ガス分析値及び予測肺活量1秒率の異常の程度を参考として示すと次のとおりである。なお、動脈血ガス分析値の測定は、安静時に行うものとする。
A表 動脈血ガス分析値
| 区分 | 検査項目 | 単位 | 軽度異常 | 中等度異常 | 高度異常 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 動脈血O2分圧 | Torr | 70~61 | 60~56 | 55以下 |
| 2 | 動脈血CO2分圧 | Torr | 46~50 | 46~50 | 60以上 |
B表 予測肺活量1秒率
| 検査項目 | 単位 | 軽度異常 | 中等度異常 | 高度異常 |
|---|---|---|---|---|
| 予測肺活量1秒率 | % | 40~31 | 30~21 | 20以下 |
- 呼吸不全による障害の程度を一般状態区分表で示すと次のとおりである。
一般状態区分表
| 区分 | 一般状態 |
|---|---|
| ア | 無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの |
| イ | 軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの(例えば、軽い家事、事務など) |
| ウ | 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの |
| エ | 身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの |
| オ | 身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの |
- 呼吸不全による各等級に相当すると認められるものを一部例示すると、次のとおりである。
| 障害の程度 | 障 害 の 状 態 |
|---|---|
| 1級 | 前記(4)のA表及びB表の検査成績が高度異常を示すもので、かつ、一般状態区分表のオに該当するもの |
| 2級 | 前記(4)のA表及びB表の検査成績が中等度異常を示すもので、かつ、一般状態区分表のエ又はウに該当するもの |
| 3級 | 前記(4)のA表及びB表の検査成績が軽度異常を示すもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの |
なお、呼吸不全の障害の程度の判定は、A表の動脈血ガス分析値を優先するが、その他の検査成績等も参考とし、認定時の具体的な日常生活状況等を把握して、総合的に認定する。
- 慢性気管支喘息については、症状が安定している時期においての症状の程度、使用する薬剤、酸素療法の有無、検査所見、具体的な日常生活状況等を把握して、総合的に認定する。各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりである。
| 障害の程度 | 障 害 の 状 態 |
|---|---|
| 1級 | 最大限の薬物療法を行っても発作強度が大発作となり、無症状の期間がなく一般状態区分表のオに該当する場合であって、予測肺活量1秒率が高度異常(測定不能を含む)、かつ、動脈血ガス分析値が高度異常で常に在宅酸素療法を必要とするもの |
| 2級 | 呼吸困難を常に認める。常時とは限らないが、酸素療法を必要とし、一般状態区分表のエ又はウに該当する場合であって、プレドニゾロンに換算して1日10㎎相当以上の連用、又は5㎎相当以上の連用と吸入ステロイド高用量の連用を必要とするもの |
| 3級 | 喘鳴や呼吸困難を週1回以上認める。非継続的なステロイド薬の使用を必要とする場合があり、一般状態区分表のウ又はイに該当する場合であって、吸入ステロイド中用量以上及び長期管理薬を追加薬として2剤以上の連用を必要とし、かつ、短時間作用性吸入β₂刺激薬頓用を少なくとも週に1回以上必要とするもの |
(注2)喘息は疾患の性質上、肺機能や血液ガスだけで重症度を弁別することには無理がある。このため、臨床症状、治療内容を含めて総合的に判定する必要がある。
(注3)「喘息+肺気腫(COPD)」あるいは、「喘息+肺線維症」については、呼吸不全の基準で認定する。
- 在宅酸素療法を施行中のものについては、原則として次により取り扱う。
- ア. 常時(24時間)の在宅酸素療法を施行中のもので、かつ、軽易な労働以外の労働に常に支障がある程度のものは、3級と認定する。なお、臨床症状、検査成績及び具体的な日常生活状況等によっては、さらに上位等級に認定する。
- イ. 障害の程度を認定する時期は、在宅酸素療法を開始した日(初診日から起算して1年6月以内の日に限る。)とする。
- 原発性肺高血圧症や慢性肺血栓塞栓症等の肺血管疾患については、前記(4)のA表及び認定時の具体的な日常生活状況等によって、総合的に認定する。
- 慢性肺疾患により非代償性の肺性心を生じているものは、3級と認定する。なお、治療及び病状の経過、検査成績、具体的な日常生活状況等によっては、さらに上位等級に認定する。
- 慢性肺疾患では、それぞれ個人の順応や代償という現象があり、また他方では、多臓器不全の病状も呈してくることから、呼吸機能検査成績が必ずしも障害の程度を示すものとは言えない。
- 肺疾患に罹患し手術を行い、その後、呼吸不全を生じたものは、肺手術と呼吸不全発生までの期間が長いものであっても、相当因果関係があるものと認められる。
いかがでしょうか。
これらの障害年金の認定基準は、国民年金・厚生年金保険 障害認定基準に定められています。
障害認定基準をもとに、医師が記載して下さる診断書の記載内容を照らし合わせながら、障害年金の認定の可能性を考えていくこととなります。
当事務所では、障害年金相談室を開設しております。
初回相談無料でご相談をお受けしておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。
2026年8月30日
小林勝哉社会保険労務士事務所 代表
特定社会保険労務士 小林勝哉
(参考)