■労働審判の補佐人としての社労士の役割

2026年3月26日

■労働審判の補佐人としての社労士の役割
(働き方ブログ)

みなさま、こんにちは。
労働契約に関する紛争解決の方法の一つとして、労働審判があります。
令和7年社労士法改正で社労士が労働審判手続きに補佐人として関与する権限が明確にされ、令和7年10月1日に施行されました。
そこで、今後の労働審判の補佐人としての社労士の役割について概観しておきましょう。

補佐人とは、当事者の陳述を補う物として民事訴訟法に定められた制度です。(民事訴訟法60条)
民事訴訟法上の補佐人となるには、裁判所の許可が必要ですが、平成26年改正社労士法で補佐人業務が定義された際に「訴訟代理人」という条文(社労士法第2条の2)があることから通常訴訟にのみ適用されると読めます。
労働審判は、訴訟手続きではなく「非訴手続」ですので、社労士が補佐人として関与ができないのではないかという疑問が提起されてきました。

労働審判法 第一条(目的)には、このようにあります。
「この法律は、労働契約の存否その他の労働関係に関する事項について個々の労働者と事業主との間に生じた民事に関する紛争(以下「個別労働関係民事紛争」という。)に関し、裁判所において、裁判官及び労働関係に関する専門的な知識経験を有する者で組織する委員会が、当事者の申立てにより、事件を審理し、調停の成立による解決の見込みがある場合にはこれを試み、その解決に至らない場合には、労働審判(個別労働関係民事紛争について当事者間の権利関係を踏まえつつ事案の実情に即した解決をするために必要な審判をいう。以下同じ。)を行う手続(以下「労働審判手続」という。)を設けることにより、紛争の実情に即した迅速、適正かつ実効的な解決を図ることを目的とする。」
つまり、一般的な裁判のように「訴訟(手続き)」または「民事訴訟」として権利関係の存否を争うだけでなく、労働審判は紛争の実情に即した迅速・適正かつ実効的な解決を図る手続きを目的としていることから「非訴手続」といえます。

令和7年社労士法改正では、社会保険労務士による裁判所への出頭及び陳述に関する規定の整備として、裁判所にともに出頭することとされている弁護士の地位について、「訴訟代理人」を「代理人」に改めること(第2条の2関係)となりました。
これにより、社労士が労働審判手続きに補佐人として関与する権限が明確になったという意義があります。

ここで、最近の政府の司法制度改革推進計画の一環として進められている、民事裁判手続のデジタル化の動向についても見ておきましょう。
令和4年民事訴訟法改正によって、訴えのオンラインによる提起など、デジタル化が制定され、いよいよ令和8年(2026年)5月1日から全面施行されることとなりました。

民事訴訟手続のデジタル化の概要は、こちらの3点です。
1)訴状や証拠等のオンライン提出等
訴状、準備書面、証拠等をオンラインで提出できるようになります。
また、これらの書類や裁判所から送られる判決書等を、オンラインで受け取ることができるようになります。
2)ウェブ会議で期日に参加(※令和6年3月1日に先行施行)
民事訴訟の期日では、裁判所の判断によりウェブ会議で参加することが可能となっています。
3)訴訟記録の電子化、オンライン閲覧
提出された書面等は電子データで保管され、判決書や調書等も電子データで管理されます。
これにより、当事者等であれば、オンラインで裁判記録を閲覧することができるようになります。

民事訴訟手続のデジタル化に伴い、労働審判手続きについてもいくつか影響があります。
・オンライン申立てを可能とし、弁護士が代理人となるときにはオンライン申立てを義務付け(労働審判法28条の2、民事訴訟法132条の10)
・審理をウェブ会議によって行うことができるようになりました(労働審判法29条、非訴事件手続法47条1項)
・送達も通常訴訟と同様、インターネットを用いた方法によることができるようになりました(労働審判法29条1項による非訴事件手続法47条1項準用)

民事訴訟手続のデジタル化によっても補佐人としての社労士の役割は、変わりません。
社労士はその労働法令の専門性を活かして関与し、関与先企業のことを知る専門家として弁護士と協力することができます。
実際の審理にあたっては、ウェブ会議によって行う場合は弁護士事務所で社労士が共同で出席することになっていくでしょう。

当事務所でも、今後も補佐人としての社労士の役割への期待に応えられるよう、特定社会保険労務士としての専門性を磨いていきたいと思います。

2026年3月25日

小林勝哉社会保険労務士事務所 代表
特定社会保険労務士 小林勝哉

(参考)
令和7年社労士法改正(概要)
3_社会保険労務士による裁判所への出頭及び陳述に関する規定の整備
裁判所にともに出頭することとされている弁護士の地位について、「訴訟代理人」を「代理人」に改めること。
(第2条の2関係)

労働審判手続き

補佐人としての社労士の役割

民事訴訟法

労働審判法

政府の司法制度改革推進計画

民事裁判手続のデジタル化

いよいよ民事裁判が電子化 ―「mints」利用義務化を前に― LIBRA Vol.26 No.3 2026/3

・ビデオ「よくわかる!労働審判手続」(字幕あり)