■障害共済年金の取り扱いについて

■障害共済年金の取り扱いについて
(年金ブログ)

みなさま、こんにちは。
国や都道府県の機関に限らず、身近な自治体などで働いておられた方は、共済年金の制度に加入しておられたと思います。
現在は、被用者年金一元化法が平成27年10月1日に施行されましたので、基本的には厚生年金保険の制度に一元化されています。
ここでは、障害共済年金の取り扱いについて、一元化前後にかかる取り扱い事務についてご案内したいと思います。

被用者の年金制度の一元化に伴う、主な変更点は次のとおりです。
・ 統一後の厚生年金に関する届書等は、ワンストップサービスとして日本年金機構または各共済組合等のどの窓口でも受付します。
・ 平成27年10月以降の統一後の厚生年金の決定・支払は、これまでどおり、日本年金機構または各共済組合等がそれぞれ行います。
・ 共済組合等の加入期間がある方で、統一後に年金を受ける権利が発生する被保険者および受給者の方については、共済組合等のほか、日本年金機構の窓口でも相談できます。

少し複雑に感じられたかもしれませんので、ポイントを整理してみましょう。

1・ 請求や届出

一元化後は、加入者や受給権者からの請求や届出については、種別にかかわらず各実施機関(注1)が対応するワンストップサービスとされています。
ただし、一元化前に受給権が発生した共済年金に関する各種届出書等は、従来どおり各共済組合等が受付します。
年金請求書については、現在加入している、または最後に加入していた実施機関から郵送されることとなっています。

(注1)実施機関と被保険者種別
・国(日本年金機構)・・・・・1号被保険者(民間会社員)
・国家公務員共済組合・・・・・2号被保険者
・地方公務員共済組合・・・・・3号被保険者
・私学振興共済事業団・・・・・4号被保険者

2・年金相談

年金相談については、一元化後に受給権が発生する被保険者は、日本年金機構および各共済組合等の窓口でご相談できます。
ただし、一元化前に受給権が発生した共済年金に関する年金相談は、従来どおり各共済組合等の窓口でご相談できます。

3・障害年金の裁定請求

障害年金の裁定請求については、初診日に加入していた実施機関が、他の実施機関の加入期間分も含めて窓口となって、年金額の計算、決定、支給を行うこととされています。
例えば、国家公務員(2号被保険者)のときに初診日があった場合、国家公務員共済組合の窓口で手続きを行えば、会社員の期間(1号被保険者)や地方公務員の期間(3号被保険者)の期間を含めて、障害年金の計算、決定、支給を行ってもらえます。この場合の年金額は、2号、1号、3号の被保険者種別ごとに計算した後に合算して計算されます。

その他のケースとして、はじめて2級による障害年金の裁定請求の場合は、基準傷病の初診日にかかる実施機関が、窓口とされています。
また、併給調整については、認定日の遅い方の障害にかかる実施機関が窓口とされています。

4・初診日と障害年金の種類

旧共済組合の加入員であって一元化前に受給権が発生したものは、旧共済組合期間中ですので障害共済年金が支給されます。
また、一元化後に受給権が発生したものは、初診日が旧共済組合期間中であっても障害厚生年金が支給されます。
なお、一元化後に初診日がある障害の原因が公務による障害については、公務障害年金(職域加算が廃止されて新たに創設された年金払い退職給付)が支給されます(経過的職域加算は支給されません)。

5・保険料納付要件

一元化前の旧共済組合の加入員であった期間中は、保険料納付要件が必要ないとされ、在職要件が求められていました。
一元化にともない、障害厚生年金の取り扱いに統一されたため、保険料納付要件が必要となりました。
一元化前に初診日があっても、障害認定日が一元化後にある場合は、受給権の発生が一元化後となるため障害厚生年金の要件である保険料納付要件が必要となります。
これは、事後重症の場合も、同じように保険料納付要件が必要となります。

ここまでが、被用者の年金制度の一元化に伴う、ポイントとなります。
いかがでしょうか。

当事務所は、身近な自治体などで働いておられた方の障害年金についても、丁寧に対応させていただいております。
どうぞ、安心してご相談ください。

2024年5月20日

小林勝哉社会保険労務士事務所 代表
特定社会保険労務士 小林勝哉

(参考)
被用者の年金制度の一元化 日本年金機構

(参考:共済組合)