■2021年版「労働経済白書」から

■2021年版「労働経済白書」から
(働き方ブログ)

みなさま、こんにちは。
厚生労働省が2021年版「労働経済白書」を公表しましたので、雇用情勢について見てみましょう。
この白書は、一般経済や雇用、労働時間などの現状や課題について、統計データを活用して分析されたもので、今回で72回目、2年ぶりの公表となりました。

白書では最も重要な政策として、休業手当の一部を補填する制度である雇用調整助成金など、新型コロナウィルス感染拡大を受けた雇用対策の効果を分析しています。
この中で、2020年4月から2020年10月に完全失業率の上昇を、2.6ポイント程度抑えて、月平均2.9%にとどめたと推計しています。

平均の数値では、弱い立場におかれている派遣労働契約や有期労働契約の労働者の雇用環境は、表されていません。みなさまの地元の企業活動の実感とくらべて、いかがお感じになったでしょうか。

また一方で、雇用調整助成金などの支給増加により財源が枯渇していることから「負担のあり方が今後の課題」と指摘しています。
雇用調整助成金の給付決定額はこれまでに4兆円を超えています。
これには10割補助や上限引き上げなどの特別措置には国庫(税金)を含む特別の財源も充てられていますが、いずれにしても雇用保険の財源は逼迫してきています。

そこで、雇用保険の保険料率を今後改訂していくことについて、厚労相の諮問機関である労働政策審議会で議論し、早ければ2022年の通常国会に雇用保険法改正案を提出することを目指していくようです。
雇用保険料は事業主と労働者がそれぞれ拠出するものです。
雇用のセイフティーネットの拡充の方向性とともに、審議会での議論の推移を見守っていきたいと思います。

当事務所では、雇用調整助成金をはじめとする各種助成金のご相談にも対応しております。
生活を守り雇用を守り、社員の笑顔溢れる職場をご一緒につくってまいりましょう。

2021年7月29日

小林勝哉社会保険労務士事務所 代表
社会保険労務士 小林勝哉

(参考)
・2021年版「労働経済白書」 
 令和3年版 労働経済の分析 -新型コロナウイルス感染症が雇用・労働に及ぼした影響- 

雇用保険料率について 厚生労働省

厚労省 雇用保険料の引き上げ検討 雇用調整助成金で財源不足 2021年7月29日,FNN