■現代のコミュニケーションとアイデンティティー

■現代のコミュニケーションとアイデンティティー
(働き方ブログ)

みなさま、こんにちは。
最近のテレワーク勤務の実施状況は、ハイブリッド勤務の形態で定着してきているようです。
生活の一部としてデジタルを切り離すことのできない現代において、コミュニケーションのあり方をハイブリッド勤務の職場環境から考えてみたいと思います。

情報化社会の現代は、さまざまな事象の解像度が高くなってきています。
一方で、情報を受け取る側の処理能力が追い付いていない場面もよく目にするようになりました。
生成AIの普及もあり、オリジナル情報なのか生成された情報なのかも、判別が難しくなっていますね。
その意味で、毎日何らかのノイズを含む大量の情報があふれかえっている状態の中で生活する情報の受け手となる私たちは、自分のアイデンティティーをしっかりと持ち続けることが難しくなってきているともいえるでしょう。
山本貴光さん(ゲーム作家、東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授)をまじえての「コミュニケーションの現在2023」という対談でも、情報化社会のコミュニケーションのあり方を探る多様な観点が紹介されています。
そんな現代にあって、自分とは何か?というアイデンティティーを、折に触れて手の触れるものを通じてであったり直接会話をすることで再考し確認することは、とても価値あるひと時となってきているのではないでしょうか。

日本酒の業界で、いま注目を集めている酒蔵に「新政酒造株式会社」があります。
従来から酒造りは、農閑期の出稼ぎとして酒造りを行う職人たちに任せるのが業界の慣行となっていましたが、新政酒造では、全国から集めた若手職人4人を社員として雇い入れて酒造りに当たらせることとしました。
杜氏も社員が務めるという取り組みは、当時の日本酒業界としては異例の取り組むでした。
そして新政酒造では、もう一つの挑戦として、現在頒布されている清酒酵母の中では最古の6号酵母「きょうかい6号」のみを使うことにしたのでした。
この6号酵母が、新政酒造の蔵から採取されたものという自らの蔵のアイデンディティーを大切にしたからこその決断でした。
もちろん、現代の情報化社会における酒蔵の経営においては、DXの取り組みは欠かせません。
新政酒造でも、クラウドサービスを利用して清酒造りに必要な情報をクラウドに記録し仕込み経過を可視化するなどのDXの取り組みも、伝統的な酒造りを支える技術のひとつとして活用されています。

そんな新政酒造株式会社 佐藤祐輔社長が大切にする考え方は、他の蔵と自分の蔵を比べないこと。
他と比べてそのやり方を持ち込もうと思っても、それでは徐々にワン・オブ・ゼムとなっていまします。
とてもクラッシックな6号酵母がシンプルで個性を主張しない特徴があることから、原料の味わいや木桶仕込みの風味を邪魔しないという個性だと気が付いたとのことです。

どの蔵も本来、その蔵にしかない長所がある。
そんな一つ一つのことにきちんと向き合えば、どんなものにも必ず長所があるとの確信は、どんな職場作りにおいても大切ですね。

多くの情報が溢れる現代だからこそ、みなさまの職場でも自らのアイデンティティーを大切に、現代のコミュニケーションの在り方について、もう一度考えてみてはいかがでしょうか。
当事務所では、職場のハラスメントを予防する様々な取り組みの一つとして、外部相談窓口のサービスも提供しております。
ご一緒に、社員の笑顔あふれる職場作りを進めてまいりましょう。

2024年1月

小林勝哉社会保険労務士事務所 代表
 特定社会保険労務士 小林勝哉

(参考)
対談「コミュニケーションの現在2023」差異に向き合うプロトコル

新政酒造株式会社

新政酒造が不退転のリブランディング 日経クロストレンド

・新政酒造株式会社 佐藤祐輔社長インタビュー記事
伝統×イノベーション 昔の技術を守ることが次代のイノベーションを生む」 NEC

TOHOKUユース・ミーティング――私たちがつくる明日
新政酒造 代表取締役社長・8代目蔵元 佐藤祐輔さん