■2024年度からの時間外労働の上限規制の適用に向けて

■2024年度からの時間外労働の上限規制の適用に向けて
(働き方ブログ)

みなさま、こんにちは。
2024年問題として知られる、2024年度からの時間外労働の上限規制の適用猶予事業・業務への適用開始まで、まもなくと迫ってきました。
建設業、トラック・バス・タクシードライバー、医師の働き方改革は、みなさまの事業にとっても、サプライチェーンや安心安全に直結する事業であり、関心を持って準備を進めておられることと思います。

働き方改革の一環として、労働基準法が改正され、時間外労働の上限が法律に規定され、2019年4月(中小企業は2020年4月)から適用されています。
一方で、以下の事業・業務(以下、「適用猶予事業・業務」と言います。)については、長時間労働の背景に、業務の特性や取引慣行の課題があることから、時間外労働の上限について適用が5年間猶予され、また、一部特例つきで適用されることとされています。

【適用猶予事業・業務】
・工作物の建設の事業
・自動車運転の業務
・医業に従事する医師
・鹿児島県及び沖縄県における砂糖を製造する事業

時間外労働の上限規制の適用猶予事業・業務とは、これらの事業、業務をいいます。

トラック業界では、トラックドライバーは自動車運転の業務の中でも、特に労働時間が長い業務であり、全産業平均と比べて、年間労働時間が400時間程度長い状況にあります。
荷物を積み込む、下ろすまでの待機時間の改善など、荷主[*1]の立場から何も対策をしなければ、2024年度には約14%、2030年度には約34%の輸送能力が不足する可能性があると言われています。
[*1] 荷物の持ち主や、その荷物を送り出す企業など

バス・タクシー業界では、かねてより全産業平均と比べて、年間労働時間が長い状況にありました。近年はバス事業者の努力や、コロナの影響等もあって、労働時間が短くなってきているものの、まだまだ全産業平均と比べると労働時間は長い状況にあります。

建設業界では、高齢化が進んでおり、建設業労働者のうち、4分の1以上が60歳以上となっている一方で、29歳以下は1割程度にとどまっています。

また、日本の医療を取り巻く状況は、高齢者の増加に伴う医療需要の高まり、生活習慣病・悪性腫瘍治療を中心とする医療ニーズの変化、患者さんの生活や健康状態に合わせた総合的な医療の提供、といった社会環境の変化にともない、ますます病院単独の取り組みだけでは長時間労働を削減することが難しい状況にあります。

当事務所では、左官組合をはじめとする中小建設業や各業界に特有の課題についても、主治医のように寄り添い、ICTによるDX推進を含めた業務改善に、ご一緒に取り組ませて頂いております。
まずは、これからの半年で改善をはかる事項をチェックし、実行計画を策定することが大切です。
健全な産業の成長と、そこではたらく社員の笑顔のために、ご一緒に改善を進めてまいりましょう。

2023年8月26日

小林勝哉社会保険労務士事務所 代表
特定社会保険労務士 小林勝哉

(参考)
・厚生労働省 時間外労働の上限規制の適用猶予事業・業務

・国土交通省 説明資料 2023年6月28日

・厚生労働省 自動車運転者の長時間労働改善のためのポータルサイト

・厚生労働省 トラック業界の現状

・厚生労働省 バス・タクシー業界の現状

・厚生労働省 建設業界の現状

・厚生労働省 建設業時間外労働の上限規制わかりやすい解説

・厚生労働省 建設業の時間外労働の上限規制に関するQ&A

・厚生労働省 医師の働き方改革サイト いきサポ

・厚生労働省 医師の働き方改革 ~患者さんと医師の未来のために~

・厚生労働省 国民のみなさまへ

・厚生労働省 働き方改革PR動画『はたらきかたススメ』

(トラック編)

(バス編)