■無期転換ルールと労働条件通知書改正の影響について

■無期転換ルールと労働条件通知書改正の影響について
(働き方ブログ)

みなさま、こんにちは!
最近のハローワークでの求人に応募される方の年齢層は、60代から80代にかけてのご年代の方が多くなってきていると伺います。
もちろん、平成19年10月からの雇用対策法改正により、事業主は労働者の募集及び採用について年齢に関わりなく均等な機会を与えなければならないこととされ、年齢制限の禁止が義務化されましたことによるものですが、まだまだ若い物には負けないとの気概で団塊の世代のご年代の方が就業を希望されるケースが増えていることによるものです。

このように、高齢者の就業が進んでくると、日本で多くの会社が採用している60歳定年、定年後希望者全員を65歳まで再雇用するという標準的なモデルでは、対応しきれないケースが多くなってきていると言えるでしょう。
そこで、高年齢者雇用安定法の改正により70歳までの就業機会確保措置を努力義務として3年が経過していますが、企業での取り組みはまだまだ様子を見ているところと言えるでしょう。

無期転換ルールは施行から時間が経過し定着したかのように見えますが、実は60歳定年後に有期労働契約で継続雇用している労働者を、65歳(通算5年)を超えて契約更新した場合、この労働者は無期転換の申込みができることを理解して対応をとっておられない事業所も多く存在しています。
先のハローワークでの求人への応募状況を見ても、このように順当に60歳定年を通過して有期労働契約を締結している従業員だけでなく、最近では60歳超で入社してこられた有期労働契約の従業員の方も増えてきています。
この場合、60歳超で入社してこられた有期労働契約の従業員は60歳定年を通過していませんので、第二種計画認定の対象からは除外されるため、何も制度上の対応をしていない場合は無期転換ルールにより60代後半以降に無期転換される従業員が生まれることとなります。
無期転換後の従業員に適用される就業規則で、第二定年、第三定年の定めが無い場合は、会社は雇用契約の終了については解雇という高いハードルが待っていることとなります。

日本のすべての事業所が対象となる労働基準法施行規則の改正により、2024年4月から労働条件明示のルールが改正されます
これにより、有期雇用契約の労働条件通知書に新たに設けられた有期契約労働者に対する明示事項が大きな意味を持つようになります。
・更新上限の明示【労働基準法施行規則第5条の改正】
・無期転換申込機会の明示【労働基準法施行規則第5条の改正】
・無期転換後の労働条件の明示【労働基準法施行規則第5条の改正】

詳しくは別の機会に譲りますが、有期労働契約の締結と契約更新のタイミングごとに、これら更新上限のカウントダウンといった通知を受けるようになるわけですから、従業員の皆様の意識も高まることとなります。

2024年4月からは、有期雇用契約を締結しておられる日本のほぼすべての事業所において、無期転換ルールを踏まえた就業規則の点検・見直しと、同一労働同一賃金ガイドラインに沿った労働条件の明示が求められる時代に入るといえるでしょう。

当事務所では、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の70歳雇用推進プランナーとして各事業所の定年制度に関する助言・提案の経験豊富な社会保険労務士が、ご相談に対応させていただいております。
無期転換ルールを踏まえた就業規則の点検・見直しと、同一労働同一賃金ガイドラインに沿った労働条件の明示への対応は、待ったなしです。
社員が生涯現役で活躍していける活力ある組織を、ご一緒に構築してまいりましょう。

2024年2月17日

小林勝哉社会保険労務士事務所 代表
特定社会保険労務士 小林勝哉

(参考)
雇用対策法

高年齢者雇用安定法~2004年改正の意味するもの

高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保

令和5年「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果

無期転換ルールのよくある質問(Q&A)
Q17.60歳定年後に有期労働契約で継続雇用している労働者を、65歳(通算5年)を超えて契約更新した場合、この労働者は無期転換の申込みができるのでしょうか。

東京労働局 無期転換ルール特別相談窓口

東京労働局 第二種計画認定について
(参考)
高度専門職・継続雇用の高齢者に関する無期転換ルールの特例について

定年後引き続き雇用される有期雇用労働者(継続雇用の高齢者)について、
有期労働契約特措法の特例の適用を受けるためには、適切な雇用管理に
関する計画を作成し、都道府県労働局長の認定を受けることが必要です。

厚生労働省 無期転換ポータルサイト

令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されます
リーフレット
Q&A