■SDGsと社会保険労務士

■SDGsと社会保険労務士
(働き方ブログ)

みなさま、こんにちは。
SDGsと社会保険労務士って、どんな関係があるかご存じですか?
意外と多くの関係があります。
ここでは、その一端をご紹介しましょう。

まず、SDGsについて見ていきましょう。
SDGsは、国連の「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」の略称で、地球規模の持続可能な開発のため達成すべき「17の目標(ゴール)」と「169のターゲット(具体目標)」を掲げています。
このSDGsは、2015年9月「国連持続可能な開発サミット」で採択され、すべての国やステークホルダーが協同的なパートナーシップで実施することを求めており、達成目標を2030年としています。そしてSDGsの目標期限まであと10年となった2020年には、「行動の10年」がスタートしています。

SDGsの「17の目標」を三つの層に分類したのが「ウェディングケーキモデル」という構造モデルで、スウェーデンのストックホルム・レジリエンス・センター所長、ヨハン・ロックストローム氏らが考案しました。
・生物圏(Biosphere)=目標6、13~15
・社会圏(Society)=目標1~5、7、11、16
・経済圏(Economy)=目標8~10、12

また、SDGsの前身となる概念であるESGは、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)という、持続可能な社会のために重要な三つの要素の頭文字で、この三つの要素をしっかりと経営に浸透させている企業を選んで投資するのがESG投資です。
ESGは、SDGsより10年ほど前に国連の「グローバルコンパクト」で提唱され始めました。2006年には、アナン国連事務総長によって、国連責任投資原則(PRI=Principles for Responsible Investment)が誕生しています。

社会保険労務士として、最も近いSDGsの目標は、SDGs目標8「働きがいも経済成長も」ではないでしょうか。
SDGs目標8「働きがいも経済成長も」では、包摂的かつ持続可能な経済成長、およびすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進するとされており、環境保護と両立する経済発展と、働きがいと十分な収入を得られる仕事の創出が求められています。

国内では、厚生労働省を中心に働き方改革を中心とするディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の実現への取り組みが進んでいます。
厚生労働省の「過労死等防止対策白書」でも、働き方改革により年間総実労働時間は緩やかに減少していますが、自殺者の約1割が勤務問題を原因・動機として亡くなっていることが報告されています。
勤務問題について原因・動機の詳細をみると、「職場の人間関係」(26.5%)、「仕事疲れ」(24.4%)、「職場環境の変化」(19.8%)、「仕事の失敗」(11.8%)の順となっています。
さらに、日本は世界的に見てもジェンダー格差が大きく、世界経済フォーラムが発表した「ジェンダー・ギャップ指数2022」での日本のジェンダー・ギャップ指数順位は116位となっています。

また、近年、日本でも急速に「ビジネスと人権(BHR)」への意識が高まっています。
私たち社会保険労務士は、すべての人にディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を提供し、持続可能な社会の創造に向けた、より多くの企業、労働者、消費者、その他全ての利害関係者が力を合わせて発展していくための支援を行っています。
私たち社会保険労務士は、企業の就業規則など働くルールの改善を進めるご支援を通じて、女性や若者の活躍のチャンスをつくることや、働く人が自分自身の働き方と仕事に対する価値観を見直していけるよう、取り組んでいきたいと願っています。

当事務所は、SDGsに貢献する社会保険労務士事務所として、憲法 第13条の基本的人権に込められた温かな思いを具体化できるよう、一人の人を大切にこれからも活動を進めて参ります。

2024年6月3日

小林勝哉社会保険労務士事務所 代表
特定社会保険労務士 小林勝哉

(参考)
国連 グローバルコンパクト

国連 SDGs

ESG投資の役割

SDGs目標8「働きがいも経済成長も」

厚生労働省 令和5年版 過労死等防止対策白書

全国社会保険労務士会連合会 ビジネスと人権