■フリーランスの方との取引に関する新しい法律が11月から施行されます

■フリーランスの方との取引に関する新しい法律が11月から施行されます
(働き方ブログ)

みなさま、こんにちは。
フリーランス新法などのキーワードを聞かれた方もおられるかと思いますが、まもなく、フリーランスの方との取引に関する新しい法律が施行されます。
今日はこちらの法律の概要と企業が準備していくべきことをご案内したいと思います。

まず、背景について見てみましょう。

近年、配送やデザイン制作など多様な業種で、フリーランスとして働く方が増えています。
一方で、フリーランスは「個人」、つまり従業員を雇用せず一人で業務を行う形態のため、「組織」として事業を行う企業等の発注事業者との間で交渉力などに格差が生じやすくなります。
そのため、「報酬が支払われなかった」「一方的に仕事内容を変更された」「ハラスメントを受けた」等のトラブルの増加が問題となっています。

このような状況を改善し、フリーランスの方が安心して働くことのできる環境を整備するため、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス·事業者間取引適正化等法)」(以下、「フリーランス新法」)が、今年11月1日から施行されることとなりました。

次に、フリーランス新法の目的と内容について見てみましょう。

この法律は、以下のことを目的としています。
(1). フリーランスの方と企業などの発注事業者との間の取引の適正化
(2). フリーランスの方の就業環境の整備

内容としては、発注事業者に対し、(1)の取引の適正化の観点から、書面等による取引条件の明示、発注した物品を受領した日または役務の提供を受けた日から60日以内のできる限り短い期間内で報酬支払期日を設定し、期日内に支払うことが定められています。
加えて、1か月以上の業務委託の場合、受領拒否や受領後の返品、報酬の減額等の禁止が定められています。

また、(2)の就業環境の整備の観点から、募集情報の的確表示、ハラスメント対策に関する体制整備が定められています。
加えて、6か月以上の業務委託の場合、育児や介護等と業務の両立に対する配慮、中途解除・不更新の場合における30日前までの事前予告およびフリーランスから求めがあった場合の理由の開示についても義務として定められています。

では続いて、企業が準備していくべきことを見てみましょう。

これまでも、企業がフリーランスとの業務委託契約を行いにあたっては、労働者性について偽装請負でないことの確認や、下請法で契約のしかたや支払期限などに留意して契約を行ってこられているかと思います。

また、フリーランス新法で新しく対応を求められているハラスメント対策に関する体制整備については、就業規則で従業員の方に働くルールとして守っていただけるように、懲戒規定などにフリーランスへのハラスメントについても対応を明示していくほうがよいと言えます。

これからは関係先のパートナーの方との間でも社員に準じた配慮をおこないつつ、気持ちの良い契約上の業務遂行をおこなっていただけるよう企業に対応が求められる時代となりました。
当事務所では、新しい働き方に対応して雇用契約以外の働き方が増える労働環境に対応した就業規則の見直しのご支援をさせていただいております。
どうぞ安心してご相談ください。

2024年8月5日

小林勝哉社会保険労務士事務所 代表
特定社会保険労務士 小林勝哉

(参考)
・厚生労働省 フリーランスとして業務を行う方・フリーランスの方に業務を委託する事業者の方等へ

・公正取引委員会 フリーランスの取引適正化に向けた公正取引委員会の取組

・中小企業庁 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)

・公正取引委員会チャンネル フリーランス・事業者間取引適正化等法 ~フルバージョン~