■尊厳が尊重される職場へのヒント

2020年9月4日

(働き方ブログ)

■尊厳が尊重される職場へのヒント

みなさん、こんにちは。

2020年は戦後75年を迎え、これまで以上にこれからの人類の未来への考察が語られた年であると思います。

全ての人が生まれながらにして持つ「生命の尊厳」。その理解の促進と普及を通じて、あらゆる対立を克服するための方途を示してきた一人が、米ハーバード大学ウェザーヘッド国際問題研究所ドナ・ヒックス博士(Donna Hicks, Ph.D.)です。2011年に発刊された『Dignity』は世界的な注目を浴び、邦訳『Dignity(ディグニティ)』(幻冬舎)が2020年2月に出版されています。

ヒックス博士の著書『Dignity(ディグニティ)』では、人生や人間関係の中で尊厳が果たす役割について明かし、尊厳の役割を、誰もが理解できるよう開発された「尊厳モデル」の「10の要素」(*1)や、反対に、尊厳の侵害につながりかねない要因が紹介されています。

私たちは、気付かぬうちに他者の尊厳を侵害していることがあります。故意にそうしているのではなく、どんな行為が相手を傷つけるのかを、理解していないからです。また一方で私たちは、相手の価値を認めることで、その人を幸せにすることもできますが、多くの場合、その力を持っていることを自覚していません。

日本国憲法は、「ひと」の尊厳を法の支配が守ることを定めており、「ひと」の魂の気高さにも触れることのできる人間学ともいえます。

私は社会保険労務士として、「ひと」の尊厳という理念を、どんな場合でも基本的価値観として据えて、具体的なケースにその光をあてていく、「リーガルマインド」を大切にしていきたいと考えています。

最近の労働法制では、労働施策総合推進法が改正され、2020年6月1日から職場のパワーハラスメント対策が法制化され、パワーハラスメントの防止のために、雇用管理上必要な措置を講じることが事業主の義務となっています。
(なお、パワーハラスメントの措置義務については、中小企業は、2022年(令和4年)3月31までの間は、努力義務となります。)

労働施策総合推進法第30条の2(抜粋)
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第30条の二 事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
2 事業主は、労働者が前項の相談を行つたこと又は事業主による当該相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
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昨今の労働相談ではハラスメント、中でもパワーハラスメントに関する相談件数がトップとなっています。
私たちも職場の中で、ガイドラインの具体的なケースに留意しつつ、その根本は「ひと」の尊厳について学び、語り合うことから、企業としての大きな価値発揮への気づきを得られることでしょう。

当事務所では、パワーハラスメントに関する雇用管理上必要な措置に配慮した就業規則のご相談を承っております。

どうぞ、お気軽にご相談ください。

(2020年8月31日投稿)
小林勝哉社会保険労務士事務所 準備室 代表 小林勝哉

(お知らせ)
・書籍『Dignity(ディグニティ)』 ドナ・ヒックス博士

・(*1)尊厳が尊重されるための10の要素
①アイデンティティーを受け入れる
②仲間に迎え入れる
③安心できる場をつくる
④存在を認める
⑤価値を認める
⑥公正に扱う
⑦善意に解釈する
⑧理解しようと努める
⑨自立を後押しする
⑩言動に責任を持つ

パワーハラスメント対策について(東京労働局)

事業主向けハラスメント対策パンフレット(PDF)(厚生労働省)

令和2年6月1日施行「女性活躍推進・ハラスメント防止対策」についての解説動画(Youtube)(厚生労働省)

事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(令和2年厚生労働省告示第5号)[PDF形式:208KB]

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