■ネガティブ・ケイパビリティーと負けじ魂

■ネガティブ・ケイパビリティーと負けじ魂
(働き方ブログ)

みなさま、こんにちは。
最近の社会状況は、なかなかすぐに答えの出ない事態が続いています。
19世紀に活躍したイギリスの詩人ジョン・キーツは、この「答えの出ない事態に耐える力」を「ネガティブ・ケイパビリティー」(Negative Capability)と表現し、人間のもつ精神の力のしなやかさと、前進への共感の大切さを詩に謡いました。
何があっても負けない生き方、それはまた「負けじ魂」ともいえるのではないでしょうか。

ここでは、キーツの何があっても負けない生き方に光を当てた、日本の精神科医の帚木蓬生(ははきぎほうせい)氏のインタビュー記事から、その考え方のエッセンスを学んでみましょう。

ネガティブ・ケイパビリティーとは、簡単に言うと、宙ぶらりんな状態に耐えた先に、必ず深い発展的な理解が待ち受けていると確信し、耐えていく持続力を生み出すものです。
またネガティブ・ケイパビリティーは、迷ってもいいということであり、時間軸に縛られない捉え方ともいえます。

例えば、ギャンブル依存症は近位と遠位の報酬経路が崩れることが原因だといわれています。遠位の報酬とは、いま勉強すればよい大学に入れるという遠い未来を考えるもので、近位は目先の報酬を求めてしまうことです。ギャンブル依存症の方は近位報酬が遠位報酬をハイジャックしている状態です。

いま短期的な問題解決や答えばかりを志向してしまう人は、ギャンブル化した脳になっているのかもしれません。だからこそ、時間軸にとらわれない遠視眼の能力が重要になっています。

また、ネガティヴ・ケイパビリティは諦めることを意味していません。いまは変えられないとしても、その不確実な状態に努力して耐え、希望を見いだしていく生き方です。
そこには、希望を見いだす「負けじ魂」の精神性が生きています。

悩みの真っただ中にいる方とともに希望を見いだしていくことが、リーダーや医師のあるべき姿といえます。
ネガティブ・ケイパビリティーや負けじ魂という、しなやかな生き方があると知り、頭のなかに入れて、希望を見いだしていく努力を惜しまないリーダーが一人いればそこから希望は広がっていくのだと思います。

当事務所では、障がいとともに生きておられる皆様が、生きる希望をしっかりと見出していただけるよう、障害年金サポートを通じお手伝いをさせていただいております。
お気軽にご相談ください。

2021年5月31日
小林勝哉社会保険労務士事務所 代表 社会保険労務士 小林勝哉

(参考)
没後200年を迎えた私たちの知らない ロマン派の詩人ジョン・キーツ 英国ニュースダイジェスト 18 February 2021 vol.1573

「ネガティブ・ケイパビリティー」(Negative Capability)という言葉は、キーツが不確実なものや未解決のものを受容する能力を説明する際に編み出した考え方で、「シェイクスピアがこの能力を著しく有している。作家ばかりでなく、詩人もこの能力を持つべきだ」と、弟へ向けた1817年12月21日の手紙につづりました。
この考え方は、第二次世界大戦中にイギリスの医学者、精神科医のウィルフレッド・ビオンがキーツの言葉を再発見したことで広まりました。日本の精神科医の帚木蓬生(ははきぎほうせい)氏は、精神分析の世界ではこれは「答えの出ない事態に耐える力」と説明し、せっかちな見せかけの解決ではなく、共感の土台にある負の力が発展的な深い理解へとつながる能力だと説明しています。
つまり、複雑なものをそのまま受け入れず、単純化やマニュアル化したり、答えがすぐ出ないものは最初から排除しようとする傾向がある現代社会の在り方を問いかける考え方でもあります。

帚木蓬生さん「ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力」 2018.05.31

悩んで耐える能力こそ知性 帚木蓬生、ネガティブの勧め 朝日新聞デジタル 2020年4月12日

ネガティヴ・ケイパビリティの技法を学ぶ 雑誌『WIRED』日本版Vol.36から 2020.03.19

・創価学園愛唱歌 負けじ魂ここにあり