■子育てを社会全体で支援する時代に

■子育てを社会全体で支援する時代に
(働き方ブログ)

みなさま、こんにちは。
出産にはお金がかかりますね。
正常分娩の場合、病気ではないため健康保険の適用にはならず全額自己負担となります。
2023年4月から、どの病院でも安心して出産できるよう、出産育児一時金の金額が大幅に引き上げられ、申請すると原則50万円を受け取ることができるようになりました。
これに伴い、子育て支援をこれまでの現役世代で補う仕組みから社会全体で支援する形となったことは、大きな社会保障制度の変更といえます。

出産育児一時金とは、出産の際に必要な費用の一部を支給する制度です。
対象は、健康保険国民健康保険などに加入している人や、扶養親族として健康保険に加入している人です。
この出産育児一時金には、出産費用のほか、産科医療補償制度の掛け金が含まれており、分娩時のトラブルなどで重度の脳性まひとなった場合に補償金が支払われます。

健康保険から病院に直接払う制度(直接支払制度)が利用できるため、事前に手続きを行えば窓口で高額な出産費用を支払う必要がありません。
出産費用をクレジットカードで払った場合や、海外で出産した場合などは健康保険に直接申請もできます。
出産費用の明細や、直接支払制度に関する合意書などの添付書類が必要です。
出産の翌日から2年で時効となるため、忘れずに申請しましょう。

厚生労働省が調査した正常分娩の出産費用を見ると、公的病院では45.5万円に対し、私的病院では50万円と大きな差があります。
そこで、2023年4月から、どの病院でも安心して出産できるよう、出産育児一時金の金額が大幅に引き上げられ、申請すると原則50万円を受け取ることができるようになりました。

出産育児一時金の財源は、これまでは74歳未満の現役世代で補う仕組みでしたが、今回の出産育児一時金の増額では、2024年4月から後期高齢者医療の保険料に上乗せする形で75歳以上の人たちから一時金の7%を財源として拠出してもらうことになりました。
これにより子育てを社会全体で支援する形となったわけです。
ただ、後期高齢者医療の保険料の急激な負担増加を緩和するための経過措置として2024〜2025年度においては、出産育児一時金の7%に対して2分の1(総額の3.5%)を負担していただくことになっています。

少子高齢化の社会にあって、エネルギー事情などにより値上げが続く生活環境の中で、子育て支援は大切な取り組みです。
子育て支援をこれまでの現役世代で補う仕組みから社会全体で支援する形となったことは、これからの高齢化社会にあって人生100年時代を健康で可能な限り働き続けていけるよう高齢期の準備も重要になってきたと言えます。

当事務所では、高年齢社員が現役戦力として働き続けていくための制度などについて、ご支援を行っております。
現役世代の社員も、また高年齢社員も、生涯現役で生き生きと働き続けられる職場作りを、ご一緒に進めてまいりましょう。

2023年5月7日

小林勝哉社会保険労務士事務所 代表
特定社会保険労務士 小林勝哉

(参考)
全国健康保険協会 「子どもが生まれたとき」

新宿区 「出産育児一時金」

日本医療機能評価機構 「産科医療補償制度について」

全国健康保険協会 「出産育児一時金について」Q&A

厚生労働省 「出産育児一時金について」 2022年10月13日 第155回社会保障審議会医療保険部会

厚生労働省 「医療保険制度改革について」 2022年12月15日 第161回社会保障審議会医療保険部会

・【出産育児一時金】75歳以上が一部負担へ 厚労省部会で了承 日テレニュース