■困難な時代のリーダーの要件

2021年9月2日

■困難な時代のリーダーの要件
(働き方ブログ)

みんさま、こんにちは。
企業においては、さまざまな予測不可能ともいえる困難な課題に直面する現代において、困難を乗り越えていくリーダーとなる人材が求められています。

みなさまの中には、VUCA(ブーカ)という言葉を聞かれた方もおられると思います。
VUCAはもともと、冷戦終了後の複雑化した国際情勢を示す用語として、1990年代にアメリカの軍事領域で用いられてきた言葉で、「予測不能な状態」を意味しています。
VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)という4つの頭文字から取った言葉で、現代の経営環境や個人のキャリアを取り巻く状況を表現するキーワードとなっています。

用語 状態
Volatility:変動性 「これからどのような変化が起こっていくのか」が予測不可能な、変動が激しい状態 ●「スマートフォン」や「SNS」の急速な普及
●それに伴う営業やマーケティング手法の変化 など
Uncertainty:不確実性 不確実な事柄が多く、「この先、私たちを取り巻く環境がどう変化していくのか」がわからない状態 ●「地球温暖化による気候変動」
●「副業解禁」や「高齢者の活躍」といった少子高齢化に伴う動き など
Complexity:複雑性 さまざまな要素・要因が複雑に絡み合っていて、単純な解決策を導き出すのが難しい状態 ●国によって差がある「キャッシュレス化」の浸透度合い
●一般の人による「空き部屋の貸し出しサービス」 など
Ambiguity:曖昧性 「どうしたら、問題を解決できるのか」「本当にこの方法で解決できるのか」、絶対的な解決方法が見つからない曖昧な状態 ●大手企業がベンチャー企業向けに投資する「ベンチャーキャピタル」 など

また、「VUCA」の時代とは、VUCAの状態が続いて、既存の価値観やビジネスモデルなどが通用しない時代のことを意味します。
2016年に開催された「世界経済フォーラム(ダボス会議)」で「VUCAワールド」「VUCAの時代」と表現されたことがきっかけとなり、広く認識されるようになりました。
まさにIT技術の急速な進展や新型コロナウイルスの影響などによって、世界的に予測不可能ともいえる困難な課題に直面することが増大している現代は「VUCAの時代」と言えます。

VUCAの時代のリーダーのスキルとして、PDCAからOODA(ウーダ)ループへの転換へということが言われていますが、ここではさらに根本的に困難な時代のリーダーの要件を考えてみましょう。

イギリスの歴史家、歴史哲学者であるアーノルド・J・トインビー博士は、名著「試練に立つ文明」の中で、次のように論じています。
「生命であれ、社会であれ、新たなものを想像しようとする努力が、はじめから成功することなど、まったくありません。」「われわれ自身の努力を通じて、何らかの新しい『前例のない変化を歴史に与える道』が、われわれには開かれているのです。」と。
困難に直面しても、希望のわく言葉ですね。

また博士は、困難な時代のリーダーの要件として、次の4つを挙げています。
==
1・洞察力
2・節度
3・度量
4・持久力
==

さらには「VUCAの時代」だからこそ、環境・社会・経済を包括的にあるいは両立させながら解決をめざす発想であるSDGsこそがサステナブルな社会、持続不可能性に対処できるレジリエンスを教えてくれています。

当事務所では、企業経営の指針となる就業規則の整備や困難な時代のリーダーとなる社員教育のお手伝いをさせていただいております。
ご一緒に、力ある人材の育成に挑戦していきましょう。

2021年9月1日

小林勝哉社会保険労務士事務所 代表
社会保険労務士 小林勝哉

(参考)
VUCA時代に適応できるリーダーの資質とその育成とは マンパワーグループ

・VUCAの時代で何が変わる? 取り残されないための4つのスキルとは 2020.12.22、d’s JOURNAL編集部

現場に強いビジネスメソッド「OODA(ウーダ)ループ」とは 2018.09.03

アーノルド・J・トインビー 『試練に立つ文明』 深瀬基寛訳、社会思想社

アーノルド・J・トインビー 名言

SDGsアクションプラン2021 2020年12月、SDGs推進本部