■「言い方」一つでハラスメントに

(労働法ブログ)

■「言い方」一つでハラスメントに

 

みなさま、こんにちは。

ご存知の通り、2020年6月1日から職場のパワーハラスメント対策が法制化(労働施策総合推進法の改正)され、パワーハラスメントの防止のために雇用管理上必要な措置を講じることが事業主の義務(中小企業は、2022年3月31までの間は、努力義務)になっています。
また、従来からのセクシュアルハラスメント等の防止対策も強化(男女雇用機会均等法、育児・介護休業法の改正)されています。

労働施策総合推進法第30条の2(抜粋)
第30条の二 事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
2 事業主は、労働者が前項の相談を行つたこと又は事業主による当該相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

 

ハラスメント対策が法律で規定されたといっても、ハラスメントかどうかの基本は人間関係です。また、人間関係といっても、その基本はコミュニケーションのための「言い方」ひとつです。

こちらの本「よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑」(大野萌子著、サンマーク出版)は、上から目線のおせっかいな一言が人間関係を悪くさせていることを気づかせてくれる、とても実用的な一書ですのでその一例をご紹介しましょう。本の中では、これ以外に141シーンが解説されていますのでご参考になるのではないでしょうか。



・現代っ子のことば・・・えっ、できるっていったでしょ?
「大丈夫です。」=「わかりました。できません。」
・モンスター社員に言ってはいけないことば・・・事実で話そう
「具合が悪そうだから病院でみてもらったら」=>「今日で〇回目の遅刻で業務に支障をきたすので病院を受診してください」
・責任転嫁のことば・・・炎上のきっかけに
「知りませんでした。」=>「確認不足で申し訳ありませんでした。」
・勝手に同意しないで・・・共感を伝えよう
「わかるわかる。」=>「あなたはそう思ったのですね。」
・ダブル否定でネガティブにしない・・・端的に伝えよう
「別にいいんだけど。」=>「納得できていません。」
・相手を責めるとバトルが始まる
「私の話を分かっていただけないのですね。」=>「私はこのように理解していただきたいのです。」
・他人は自分の思い通りには動かない
「なぜ連絡してくれなかったの?」=>「困っていたから連絡してほしかった。」

いかがでしたか?
職場での身近なちょっとしたことに気を付けるだけで、お互いに気持ちよく仕事ができると感じられたのではないでしょうか。

厚生労働省では、社員のみなさまが気軽に電話相談できる窓口「ハラスメント悩み相談室」を開設していますので、社員の方にもどうぞお知らせください。

「ハラスメント悩み相談室」
職場でのセクシュアルハラスメント、妊娠・出産等に関するハラスメント、パワーハラスメントのことで悩んでいる方・お困りの方などからの相談窓口です。電話相談、メール相談いずれも携帯電話・スマートフォンからも受付けています。
なお、ハラスメントに該当するか否かの判断をすることはできないこととなっております。その旨ご承知おきください。

当事務所では、社員のみなさまの笑顔あふれる職場作りへのお手伝いをさせていただいております。
お気軽に、ご相談ください。

(2020年1月2日)

小林勝哉社会保険労務士事務所 代表 小林勝哉

(参考)
「よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑」(大野萌子著、サンマーク出版)

・厚生労働省「ハラスメント悩み相談室」 0120-714-864 月~金 12:00から21:00 土日 10:00~17:00