■ビジネスと人権に関する行動計画を
■ビジネスと人権に関する行動計画を
(働き方ブログ)
みなさま、こんにちは!
企業の持続可能性を考えるうえでハラスメント防止は重要な取り組みの一つです。
2020年6月1日からは労働施策総合推進法によってパワーハラスメントに関する雇用管理上の措置(防止措置)を講じることが事業主の義務となっています。(なお、中小企業は2022年3月31日までは努力義務となります。)
このようなハラスメント防止への取り組みは、とりもなおさず憲法の保障する基本的人権の尊重がその基本的精神です。
また、SDGs(Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標))への関心が高まってきており、基本的人権の尊重はまたこれらの活動のテーマの基本精神でもあります。
国連の取り組みを振り返ると、1999年には企業を中心とした様々な団体が社会の良き一員として持続可能な成長を実現するための自発的な取組として「国連グローバル・コンパクト」が提唱されました。
また、2011年には「ビジネスと人権に関する指導原則:国連「保護、尊重及び救済」枠組みの実施」(指導原則)を策定しました。
国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」の第二の柱が、「人権を尊重する企業の責任」です。
すなわち、(1)人権方針の策定、(2)人権デュー・ディリジェンスの実施、(3)苦情処理メカニズムの構築、です。
この「指導原則」は、2015年9月に国連総会で採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)を中核とする「持続可能な開発のための2030アジェンダ」で具体的な取り組みが策定されています。
このような長年のビジネスにおける基本的人権の尊重への取り組みの一つとして、政府は2020年10月16日、企業活動における人権尊重の促進を図るために「ビジネスと人権」に関する行動計画を策定しました。政府の行動計画では、今後政府が取り組む各種施策が記載されているほか、企業に対し企業活動における人権への特定、予防・軽減、対処、情報共有を行うこと、人権デュー・ディリジェンスの導入促進への期待が表明されています。
振り返って、労働施策総合推進法などの最近のハラスメントに関する雇用管理上の措置(防止措置)で求められていることも、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」の考え方に沿っていることが分かります。
当事務所では、ハラスメントを起こさない明るい笑顔あふれる職場作りへのご支援をさせていただいております。
お気軽にご相談ください。
2021年5月20日
小林勝哉社会保険労務士事務所 代表 社会保険労務士 小林勝哉
(参考)
・「ビジネスと人権」に関する行動計画(2020ー2025)の策定について
・人権デュー・ディリジェンスへの手引き (日弁連)
・SDGs(Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標))
・国連グローバル・コンパクト10原則
人権 | 原則1 | 企業は、国際的に宣言されている人権の保護を支持、尊重すべきである |
---|---|---|
原則2 | 企業は、自らが人権侵害に加担しないよう確保すべきである | |
労働 | 原則3 | 企業は、組合結社の自由と団体交渉の実効的な承認を支持すべきである |
原則4 | 企業は、あらゆる形態の強制労働の撤廃を支持すべきである | |
原則5 | 企業は、児童労働の実効的な廃止を支持すべきである | |
原則6 | 企業は、雇用と職業における差別の撤廃を支持すべきである | |
環境 | 原則7 | 企業は、環境上の課題に対する予防原則的アプローチを支持すべきである |
原則8 | 企業は、環境に関するより大きな責任を率先して引き受けるべきである | |
原則9 | 企業は、環境に優しい技術の開発と普及を奨励すべきである | |
腐敗防止 | 原則10 | 企業は、強要や贈収賄を含むあらゆる形態の腐敗の防止に取り組むべきである |
・国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」