■高年齢者雇用確保措置とプラットフォーム能力

■高年齢者雇用確保措置とプラットフォーム能力
(働き方ブログ)

みなさま、こんにちは。
70歳までの就労機会確保措置を企業の努力義務とした改正高齢者雇用安定法が2021年4月に施行されました。
この改正で改めて社員一人一人の仕事への意識が高まり、職業生活の権利を考えるきっかけとなっていますね。

これまでの日本の労働法制では長期雇用を前提として職業生活の安定を目指してきており、労働政策を進める基本的な法律である「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」でも、(基本的理念)「第三条 労働者は、その職業生活の設計が適切に行われ、並びにその設計に即した能力の開発及び向上並びに転職に当たつての円滑な再就職の促進その他の措置が効果的に実施されることにより、職業生活の全期間を通じて、その職業の安定が図られるように配慮されるものとする。」と明記されています。

しかしながら、これからは雇用契約ではない就労機会確保を図っていくことが企業に求められています。
また、労働者には能力開発や健康保持・増進の努力が求められています。
つまり、会社員生活を終えてからの自らのキャリア開発を、社員一人一人が早くから考えていくことが重要となってきているわけです。

シニア世代になってからの大きな職業生活の環境変化に備えて、どのようなスキルが必要となるでしょうか。
それは、知識としてのスキルだけでなく変化に対応できる能力、すなわちプラットフォーム能力が必要となります。
学習院大学名誉教授の今野浩一郎氏は「シニアに求められる能力は2つあります。1つは専門能力。もう1つがそれを支えるプラットフォーム能力、すなわち仕事をするうえでの基本的な態度や行動、意識のことです。定年後、シニア世代と現役世代が良い関係性を保ち、高いモチベーションでともに働くためには、専門能力よりもプラットフォーム能力のほうがはるかに重要です。」と、プラットフォーム能力として「①気持ち切り替え力」「②ヒューマンタッチ力」「③お一人様仕事能力」の3つが重要だとしています。

当事務所では、プラットフォーム能力の向上を図る中央職業能力開発協会(JAVADA)認定のキャリア開発プログラムや、人生100年時代の第三の人生のライフプラン設計などのご支援をさせていただいております。
ご一緒に、社員の笑顔溢れる職場作りとともに、100年続く魅力ある企業への就業規則の整備にも取り組んでいきましょう。

2021年7月14日

小林勝哉社会保険労務士事務所 代表
社会保険労務士 小林勝哉

(参考)

・厚生労働省 高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~

・厚生労働省 パンフレット(詳細版):高年齢者雇用安定法改正の概要【New】

・「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律

シニア人財が活躍するために求められる幅広い意識改革(2019年9月26日、学習院大学名誉教授 今野浩一郎氏インタビュー、アデコ社)

ミドル/シニア社員向けキャリア・シフト・チェンジ事業(中央職業能力開発協会(JAVADA)、CSC研修プログラム)

・キャリア権の概要

キャリア権構想(諏訪教授による概念)

雇用

産業 - キャリア権 - 社会保障

教育

(キャリア権とは、国民一人ひとりが,職業キャリアをとおして幸福を追求する権利)

キャリア権の構想をめぐる一試論 諏訪康雄 (1999年07月、日本労働研究雑誌468号、日本労働研究機構

70歳就業時代の展望と課題―企業の継続雇用体制と個人のキャリアに関する実証分析― (2021年6月18日、労働政策研究報告書、No.211)

生涯現役社会に向けた雇用制度改革について (2018年10月、経済産業省)

2035年に向けて何をすべきかーある労働法研究者の私論 大内伸哉 (2016年4月13日)